露呈したメガバンクと日銀の微妙な距離感

前期決算で明らかになった「国債保有方針の違い」

国債保有残高を激減させた三井住友はどうか。5月14日の決算発表会見の席上、三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長は「金融機関同士で取引をする際、担保として国債をやりとりすることがあるので、今ぐらいの額は、業務遂行上、保有しておく必要があると考えている」と述べた。つまり、大量売却は前期限り。今年度は兆円単位の残高削減を行わない。

みずほはまだ国債保有額を減らす(撮影:尾形文繁)

一方、ほかの2メガバンクグループは違う。みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は、同日の決算会見で、「今の日銀の金融政策からすればさらに国債を買っていくので、われわれも売却という機会が出てくると思う」と語った。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長も「日銀による国債の買い取りは続くと思うので、それと平仄を合わせていく」と、いずれも14年度中のさらなる国債売却に前向きだ。

三菱東京UFJもみずほと同様、保有残高を減らす(撮影:風間仁一郎)

昨年度に保有残高を5割減らした三井住友に比べると、みずほは3割、三菱は2割と減少率がまだ少ないことから、売却を続けると言うのだろう。ただし、みずほ、三菱とも、どこまでも右肩下がりに保有残高を減すことはない。国債売却額のメドは示さなかったものの、金融機関の業務として一定程度の保有は必要なため、三井住友のように、国債の売却を見合わせる水準に近づくはずだからだ。

日銀が困る?

日銀の黒田総裁は、メガバンクの動向が気になる?

そのときに何が起きるか。気をもむのは国債買い入れを推し進める日銀だろう。昨年4月の金融緩和では長期国債の保有残高を年間約50兆円増やす方針を明らかにし、実際、そのペースで国債購入を続けている。一方、3メガバンクグループが13年4月~14年3月の間に国債保有を減らした額は合計で約29兆円。

仮にメガバンクの売却した国債がすべて日銀に移ったとすれば、買い入れた国債の6割はメガバンクが差し出した計算になる。だが、これ以上は国債保有を減らしにくいことを明言した三井住友は、今後そうした貢献はしなくなる。そして、みずほや三菱は売却を続ける方針だが、どれくらいのペースで進めるのかは不明だ。

消費増税後の反動減の影響を和らげるため、市場では日銀が追加緩和のために、国債を買い増す方針を近いうちに明らかにするとの見方もある。メガバンクによる国債売却の”余力”が限界に近づいているとすれば、日銀が思うように国債買い入れをできなくなる可能性は否定できない。

果たして、日銀の異次元緩和を円滑に進めるため、メガバンクはどこまでその買い入れに応じるのか。国債を吸い上げる日銀にとって、これまで以上にメガバンクの売却動向に神経を尖らすことになりそうだ。

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