無症状感染者は素通りできる「検温」の無意味感 検温でできるのは「やってる感」の演出だけだ

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無症状感染者による感染拡大はパンデミック初期から指摘されてきたが、これを裏付ける証拠はその後も増え続けている。例えば、8月に医学誌『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション・インターナル・メディシン』に掲載された韓国の最近の研究がそうだ。

無症状感染者でも、発症した感染者と同量のウイルスが鼻、喉、肺に存在し、発症者と同じくらいの期間残存する可能性のあることが、この研究から明らかになっている。

入院するほどの患者でも発熱がない場合も

イエール大学公衆衛生大学院のデービッド・パルティエル教授(公衆衛生政策・管理)によれば、こうした無症状感染者が「静かに感染を広げ」、ウイルスの拡散に拍車をかけ、大量の感染者を生み出すスーパースプレッダーとなっている。

「感染力は発症前に最大となる。ウイルスにさらされて潜伏期間が始まると、発熱などの症状が一切出ていなくても、感染力のあるウイルスを大量にまき散らして(多くの人に感染させる)スーパースプレッダーとなる場合がある」(パルティエル教授)。

検温では、この「時限爆弾」を止めることはできない、とパルティエル氏は言う。「(検温で感染が防止できるというのは)誤った考えだ」。レストランは検温ではなくて、その場ですぐに結果の出るウイルス検査が利用可能となるよう声を上げるべきだ、とパルティエル氏は話す。

興味深いことに、入院治療が必要なほど症状が悪化した新型コロナ患者でも全員が発熱するわけではない。前出のマッギン医師が医学誌『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』で発表した研究によれば、今年春にニューヨーク地区で重症化してノースウェル・ヘルス病院に入院した6000人近い患者のうち、入院時点で熱があったのはわずか30%にすぎなかった。

(執筆:Roni Caryn Rabin記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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