菅政権のデジタル改革が日本株再評価のカギに ゴールドマンのキャシー松井氏に聞く

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――菅内閣の布陣などを見て、ご自身の今の評価は?

キャシー松井(Kathy Matsui)/米ハーバード大学、ジョンズ・ホプキンズ大学院(SAIS)卒業。1994 年ゴールドマン・サックス証券会社入社、98年マネージング・ディレクター、2000 年パートナー昇格。現在、副会長、チーフ日本株ストラテジスト、グローバル・マクロ調査部アジア部門統括。アジア女子大学理事会、ハワイ自然保護協会理事会、米日カウンシル議会、経済同友会、日本癌学会の乳癌基金アドバイザリーメンバーの一員でもある。20年7月に新著『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます』(中公新書ラクレ)刊行(写真:本人提供)

再任や横滑りの閣僚が多いのでとくに驚くべき点はないが、「ウーマノミクス」(女性活躍による経済活性化)を提唱している私から見ると、相変わらず女性の閣僚が2人だけというのは残念だ。

ただ、私が注目しているのは、平井卓也氏が担当大臣になったデジタル改革。コロナ後のニューノーマル(新常態)として、経済だけでなく社会、教育など、あらゆる分野におけるデジタル革命が実現できるかどうかだ。

日本は海外から見てもロボットなど技術力で定評がある反面、コロナ禍で露呈したように、行政手続きや企業の決済でのハンコ文化、紙文化など生産性の足を引っ張っている要因も多い。日本のデジタルリテラシー(理解度)は世界的にも下位とされる。人口減少と高齢化が進むこの国で最も必要なのは生産性革命であり、生産性向上のためには政府、民間企業、学校など横断的なデジタル改革が不可欠だ。

理想的なのは、台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当大臣が進めた改革のように、単なるコロナ対策ではなく、国民と政府のコミュニケーションパイプを太くする参加型民主主義へ向けた改革だろう。

日本が成長するには生産性向上しかない

――生産性低下による潜在成長力の低迷が懸念されています。

海外投資家は日本に投資する必要性がまったくない。日本はさまざまなオプションの中の1つにすぎない。その中で日本や日本株を選ぶとしたら、求めるのは投資リターンであり、その元になるグロースドライバー(成長の源泉)は何かというと人財、資本、生産性の3つ。人財は減って、資本も限られている中、生産性を上げるしかない。

ウーマノミクスで言えば、女性の労働力が増えても過半がパートというのが現実で、生産性向上に結び付いていない。非正規から正社員への転換を促し、女性のリーダーをもっと生み出していくことが必要だ。女性リーダーを育てる実践的手法については、最近出版した本(『ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます』)でも書いたところだ。

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