ワタミがもくろむ「和民」依存からの脱却 総合居酒屋の割合を全店舗の9割から6割に

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たとえば、同じ外食業界でも、ファミレス業態は景況感の改善が追い風となり、高付加価値のメニューを武器に業績を伸ばしている。ワタミの外食事業でも、串焼きに特化した「炭旬」、イタリアンやスペイン料理を中心とした「GOHAN」のような専門性の高い業態は、既存店が前期比100%以上の売り上げを維持している。

そこでワタミは、外食事業の全店舗に占める和民業態の割合を、現在の9割超から2017年度末をメドに6割まで引き下げることを目標に掲げた。一方、外食事業全体の店舗数は2014年度末の606店(計画)から3年後に680店まで増やす。つまり、和民の閉店や業態転換を進めるとともに、他業態の出店を加速させる戦略だ。

すでに新たな動きも出始めている。ワタミとしては初の中華業態を今年2月に神奈川県でオープン。3月には、本格的な炉端料理を提供する高客単価の店舗を銀座に開業した。

店舗当たりの正社員数を引き上げ

これと並行して、和民業態のテコ入れも進める。2014年度に閉鎖する店舗のうち、10店ほどが不採算店の整理で、残りの約50店は労働環境改善に向けて1店当たりの正社員数を増やすために実施する。この60店の閉鎖により、1店舗当たりの社員数は、現状の1.86人から2.09人まで引き上げられる。随時、中途採用なども実施し、2014年度末には1店当たり2.2人を目指す。

「これからは付加価値を提供する新業態を出していく。和民業態についてはこれまでの拡大路線ではなく、既存店1店ごとの売り上げや利益を重視したマネジメントを取っていく。和民既存店の業態転換も考えていく」(桑原社長)

消費者のニーズは瞬く間に移り変わっていく。どこまでスピード感を持って、脱「和民」を進められるか。ワタミの変革力が試されている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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