「老害」が組織をダメにするという根本的誤解 高齢化に適応できない日本企業のジレンマ

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シルバー世代に対するイメージも固定化されています。「75歳定年の時代がくる」と聞くと、「55歳ぐらいから20年間も窓際族をやるのか?」というふうに考えてしまう人も少なくありませんし、いま話題になっている高齢者雇用も、得てして「マックジョブ」(ファストフード店のように低賃金な単純労働のこと)のような話として語られがちです。

そうすると、一般的な会社で働くサラリーマンたちは、「60代になったら派手な制服を着て、あそこの店頭に立つのか……」と想像することになる。それはまったく悪いことではないけれども、やはり、いまの自分の姿と、想像しうる高齢になった自分の姿との間にはギャップがありすぎて、ポジティブに受け取れないという問題があるわけです。

「組織の老い」が日本をダメにする

ここで考えておかなければならないのは、人々の年齢が老いるから、社会や会社がダメになるわけではないということです。日本において、この30年間イノベーションが起きなくなった原因をいろいろな人が研究していますが、こんな分析があります。

昭和20年代、ソニーやホンダが登場した頃は、みんなが「新しい産業をつくるんだ」という野望に燃えていた。つまり、全員がイノベーションに向かうという覚悟を持つ世代だったのです。ところが、時がたつと、後から入った世代は、上の世代のやっていることに従うという現象が起きる。あまり飛び抜けたことをやらなくなるんですね。

これが続くと、最初の世代がいなくなったとき、そこには自分たちで道を切り拓いたことのない世代だけが残され、イノベーションが起きなくなるのだ、と。これには納得がいきます。

電機・エレクトロニクスの分野は、90年代終盤からどんどん低迷し、2000年代にはパナソニックやシャープの経営状態が悪化、最終的にシャープは鴻海に買収されてしまいました。当時、盛んに言われたのは、社員の平均年齢の問題です。シャープもパナソニックも、平均年齢が40代後半でした。これではイノベーションを生みにくくなるだろう、と。

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