「副業コンサルを見下す」本業コンサルの勘違い なんちゃってコンサルで終わらないための秘訣

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一般に、コンサルタントにとって社内展開は大切です。ただ、時間・スキル・人脈などリソースが限られる副業コンサルタントは、手を広げ過ぎず、専門領域でブランド価値を高める方が良さそうです。

講師についても少し触れておきましょう。講師も、コンサルタントと同じ理由で人気の副業です。講師ビジネスをする上で知っておきたいのが、セミナーと研修の違いです。

<ケース3:「2年間受注ゼロ」の小平さん>
専門商社に勤務する小平さん(仮名)は、得意の英語力を生かして異文化コミュニケーションの研修講師をしようと、営業エージェントに登録しました。しかし、登録から2年経っても、受注実績はゼロのままです。1年目、営業エージェントを通して企業からの引き合いが3件ありました。しかし、いずれも内容や日程の調整がうまく行かず、失注してしまいました。3件目が失注に終わってからこの1年間、まったく引き合いが来ていません。

なぜ小平さんは、営業エージェントから見放されたのでしょうか。致命的なミスは、そもそもセミナー講師でなく、研修講師を目指したことです。人前であるテーマについて話すという点でセミナーと研修は似ていますが、まったく別物です。

セミナーは、講師の特殊な経験やスキルを一方的に受講者に伝えます。主催者と内容をすり合わせる必要はありません。個人の受講者が対象で、平日夜や土日に開催するのが一般的です。したがって、副業の講師でも十分に対応することができます。

一方、研修は、企業が直面する問題を取り上げて、講師が社員の受講者に解決のヒントを提供します。人事部など主催者と綿密に内容・進め方をすり合わせします。会社業務の一環として平日の昼間に開催します。したがって、平日夜と土日に活動する副業の講師が対応するのは困難です。

小平さんは、副業ならセミナー講師を目指したほうが良かった。あるいは、研修講師にこだわりがあるなら、独立開業したほうが良かったのかもしれません。

副業コンサルは使えないのか?

先日、外資系コンサルティングファームの幹部をしている知人と副業コンサルタントについて話したところ、彼は「おいおい、そういう“なんちゃって”の人たちが(俺たちと同じ)コンサルタントを名乗らないで欲しいね」と鼻で笑っていました。彼に限らずたいていのプロコンサルタントは、副業コンサルタントに批判的です。

ただ、私の考えは違います。すでに現場を離れた頭でっかちのプロコンサルタントよりも、現場で実務を担っている副業コンサルタントの方が、より実践的なコンサルティングを提供できる可能性もあります。これから副業コンサルを始める方は、なんちゃってコンサルではなく、専門性を発揮し、企業の発展に寄与できるコンサルを目指してほしいものです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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