独断で選ぶ「座り心地がいい」新幹線ベスト10 乗車時間の大半で接し、旅の印象を左右する

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■2位:700系7000番台「4人用普通個室」

山陽新幹線「ひかりレールスター」に備わる、新幹線唯一の個室設備。扉のついた個室内に、向かい合わせリクライニングシート(座面が前に出て、姿勢を楽にする)が置かれる。座席の中間肘掛け(跳ね上げ可能)は幅が広く、贅沢感がある。

座席間隔は2080mmで、占有面積は2+2列普通車と同じだが、大型テーブルやテーブル上の照明が贅沢で、満足感が高い。なお、個室利用は3~4人でかつ「ひかり」で運行している列車のみなので、注意したい。

グランクラスでも差がある

■1位:E7/W7系「グランクラス

E7系のグランクラス(撮影:尾形文繁)

独断で選ぶ新幹線座席の頂点は、北陸・上越新幹線向けのE7/W7系「グランクラス」だ。

このクラスは東北新幹線E5系(北海道新幹線H5系も同じ座席)が先に設置している。E5系グランクラスは、1+2列(E5系グリーン車2+2列)で座席が配置され、座席幅520mm(同475mm)、座席間隔1300mm(同1160mm)と、サイズ面ではグリーン車を大きく上回る。

バックシェル付きの背もたれは、リクライニングをしても気を使う必要がない。側壁がグリーン車よりも分厚いため、走行音は少ないし、乗り心地もいい。アテンダントの軽食・飲料サービスも、大きな魅力だ。ただ、座席単体では疑問点もある。とくに2人掛け座席の中間肘掛けは気にかかる。肘掛けスペースが非常に小さいうえに、外側の肘掛けと高さが違う。そのため姿勢が限定されるのは残念だ。座席は革張りで高級感があるが、肘掛けにクッションがないので感触が堅い。また、電動リクライニングシートの動作音で静粛性を損なわれるなど、惜しくも選外とした。

E7/W7系のグランクラスは電動リクライニング音以外の問題が解消されている。1+2列で座席間隔1300mm、座席幅525mm(E5/H5系より5mm広い)と余裕がある。肘掛けのサイズや高さの問題も解消され、非常に座り心地がいい。また、側壁が分厚く、最高速度がE5/H5系より抑えられていることもあり、リクライニング時以外は非常に静かだ。テーブルの安定感もE5/H5系を上回り、新幹線最強座席と感じる。

いかがだろうか。皆様も座席に注目して、快適な旅を満喫していただければ幸いである。

安藤 昌季 乗り物ライター

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あんどう・まさき / Masaki Andou

1973年、東京都生まれ。編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表で、通勤電車の座席から寝台まで広く関心を持つ「座席鉄」。「鉄道ぴあ」「旅と鉄道」「AERA.dot」「週刊日本刀」などで、乗り物・歴史関係の執筆を広く手掛けるほか、鉄道キャラクター企画、ゲームデザイン、イベント主催なども。著書は「教えてあげる諸葛孔明」(角川ソフィア文庫)、「夢の新幹線 ものしり学習帳」(玄光社)「日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き」(天夢人)

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