埼玉県戸田市教育委員会教育長が語る「AIに負けない教師の条件」 小中「PC1人1台」教師に求められる資質は

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新学習指導要領が目指す、主体的・対話的で深い学び「アクティブ・ラーニング(AL)」の実践研究や、企業や大学と連携したICT活用、子供の学力と教師の指導方法の相関を調査し、政策立案をするEBPM(Evidence based Policy Making)など、社会に開かれ、先進的な教育改革に取り組んでいる埼玉県戸田市。2015年に戸田市教育委員会教育長に就任以来、教育改革の旗振り役として多彩な施策を実践してきた戸ヶ﨑勤氏に、ICT活用を中心としたこれまでの取り組みと今後の教育展望について伺った。
子供に本当に必要な能力は何か?を真剣に考え、実践する埼玉県戸田市

―改めて、今の子供たちが身に付けるべき力についてどのようにお考えでしょうか

いつの時代にあっても、読み・書き・計算に代表される基礎的な知識や技能は必要ですが、先の読めないこれからの社会を生き抜くためには、チームになって学び合い、課題を発見して解決する力が必要です。一言で言えば、“正解のない課題に向き合う力”です。

しかし、子供たちが受けている授業の多くは、いまだに教師主導の傾聴スタイルです。テストを受けるときは、机の上には鉛筆と消しゴムだけで、紙が配られたら自分の記憶だけを頼りに問題を解いていかなければなりません。

子供たちが出ていく社会は、知識量は必要とされません。協働してお互いの考えを表現し、受け止め、考えを深めるような学習や、企業とコラボレーションするなどして、変化する社会の動きを教室に取り入れたり、子供たちの考えが社会のまなざしにさらされたりする機会をつくることが重要だと考えています。

戸田市教育委員会 教育長 戸ヶ﨑勤氏
中学校教諭、小中学校校長、戸田市及び埼玉県教育委員会指導主事等を経て、15年より現職。経済産業省「『未来の教室』とEdtech研究会」委員や文部科学省「全国的な学力調査に関する専門家会議」委員なども務める。

―実際に戸田市ではどのような取り組みをされているのでしょうか

教科等を横断して正解のない学びに取り組むPBL(Project Based Learning)の実践研究を積極的に行っています。例えば、「1日1人当たりが出すゴミの量を100g減らすには?」というテーマでは、市役所の環境課の職員、埼玉県環境アドバイザーの方などと連携し、身近にある「本物で深刻な課題」に取り組み、プラスチックゴミを減らすために海外の子供たちに使わなくなったおもちゃや文房具を届けるなどのさまざまな解決策が実行されました。ICTをフル活用しながら、地域の方々や専門家を巻き込んだ本格的な批評や実行の場を持つことで、当事者意識を持って地域の課題を捉え、仲間と協力して主体的にプロジェクトや課題解決に取り組む力が身につきます。

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