埼玉県戸田市教育委員会教育長が語る「AIに負けない教師の条件」 小中「PC1人1台」教師に求められる資質は

(提供:戸田市)
また、70を超える企業やNPO、大学、研究機関と連携し、さまざまな共同研究をしています。例えば、プログラミング教育は、今年度から全国の小学校で全面実施となりましたが、本市では2016年度から企業等との共同研究を始め、2018年度には市内全小学校で実施しています。企業等が開発中の新教材を学校で実証していただいたのですが、その際にはプログラミング教育のノウハウを持った方に授業に入っていただきました。そうすることで、学校としては教員研修にもつながり、企業等としては開発上の効果検証につながります。
こうしたWIN-WINの連携を行うことで、安価で効率的な改革を進めることができます。最近では、算数の「速さ」の学習と社会の「食料生産」の学習を組み合わせ、食料の輸送経路について学ぶ教科等横断型のSTEAM教育の視点に立った事例なども創出されるようになりました。

(提供:戸田市)
―18年からはタブレット端末を3クラスに1クラス程度整備するなど、ICTを用いた授業も進められていますね
社会に出たら、チャットやメールを使ったコミュニケーションは当たり前、ミーティングで自分の考えをわかりやすく伝え、時にはプレゼンテーションで発表する必要がありますよね。将来、こうした環境で、子供たちが存分に力を発揮できるようにするためには、ICTをマストアイテム化した学びを積極的に導入する必要があると考えました。
19年末に文部科学省から発表された「GIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All)」では、小・中学校の児童生徒に1人1台のPC環境を実現することが掲げられていますが、戸田市の小・中学校では、すでに3クラスに対し1クラス分、教師にも1人2台(校務用と指導用)の配備を達成しています。今考えているのは、「TERAホーム&スクール構想」です。教師と子供の双方が、学校でも自宅でも授業ができる・受けられる環境を整え、遠隔・オンライン教育や家庭とのシームレスな学習など、対面とオンラインを効果的に組み合わせるハイブリッド型の授業形態の実現を目指しています。

(戸田市提供により作図)
―今回のコロナ禍では、どのような授業展開をされていたのでしょうか