「聞かれてこそ音楽」、だからJASRACに対抗する 金をとられるとジングルベルが街から消えた 

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一方のJRCは、音楽プロダクションなどが参加し、シンガーソングライターやロックミュージシャンを中心に、自ら楽曲を管理しようと立ち上がった団体。そのため、L'Arc~en~Ciel やスピッツ、布袋寅泰など、人気アーティストによるビッグタイトルの提供が継続的にあった。

両社はそれぞれ事業を展開してきたが、さらに健全な競争を促すためには2位以下が”野党連合”として、JASRACの対抗軸となることが必要だと思い、JRCに呼びかけた。時間はかかったが、2016年に円満に合併することができた。

――株式を上場した理由は何ですか。

上場以前から、多くの会社にオーナーシップを持って支援してもらおうと声をかけ、出資していただいている。こうした関係があるので作品の提供もスムーズに進めることができる。特定の会社の事業として見られるのは本意ではなく、サービスを多くの方に使ってほしいと思っている。だからエイベックスの持ち分比率も下げ、上場して”みんなの会社”にしている。

――JASRACとは具体的にどのような点が異なりますか。

JASRACは委託者へ使用料の分配を増やす取り組みや、管理手数料率の抜本的見直し、データベースの整備、新事業の開始など「80年目の変革宣言」を掲げて、改革を進めている最中だ

まず、著作権管理事業は楽曲のメロディと歌詞のライセンスを受けて、レコードメーカーや楽譜出版社、テレビ・ラジオ局などから楽曲の使用料を徴収し、権利者に分配する。「待ち」のビジネスで、ここはJASRACと競合する。

楽曲の管理手数料は、JASRACと同じか安くしている。詳細なデータの開示も特徴だろう。利用者やサービス、数量、使用料が明確なので、マーケティングのデータとして有用だ。作曲家・作詞家だけの立場なら、しっかり徴収してくれればそれでいいが、実演するアーティストは楽曲がどのプラットフォームでどう聴かれたか、といった情報も重要になる。

われわれは世界中のプラットフォームに配信する

JASRACと大きく異なるのは、音楽コンテンツの販売・流通に関する事業を手掛けていることだろう。CD音源やミュージックビデオなどの「原盤」(作品の音源・映像マスター)を預かり、Apple MusicやYouTubeなど、世界中の音楽プラットフォームに供給する事業もある。各プラットフォームで配信されれば、原盤の使用料だけでなく著作権使用料も発生するので、著作権管理事業にもプラスになる。

アーティストやプロダクションの活動支援事業も行っている。ライブビューイングや、スポンサー企業を獲得して楽曲プレゼントなどの企画に協賛してもらうなど、さまざまな支援で手数料をいただくモデルだ。2019年はB’zのライブビューイングを行った。史上最大規模(当時)となる305劇場で8万人を動員している。

管理楽曲数のシェアはまだ5%程度で認知度が低く、「NexToneはJASRACと同じことをやっている」と考えるアーティストも多い。JASRACに楽曲を預けるアーティストにもアプローチし、待っているだけではないという姿勢を理解してもらうことで、楽曲数の増加につなげたい。

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