「聞かれてこそ音楽」、だからJASRACに対抗する 金をとられるとジングルベルが街から消えた 

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――ライブでの演奏やカラオケ、店内放送、映画館での上映などで演奏を許諾する「演奏権」について、JASRACは使用料を徴収していますが、NexToneはできていません。

カラオケ以外は参入のメドが立っている。ライブは業界団体のコンサートプロモーターズ協会を通じて、JASRACに使用料を支払っており、協議ができている。ほかも団体を通じて徴収する形だ。ただ、カラオケは個店の運営者が支払う方式で、JASRACも時間と人手をかけて仕組みを整えてきた。簡単にはいかないだろう。

――JASRACとは今後、どんな関係を築いていきますか。

ともに業界のみんながプラスになる方向を探っていきたい。JASRACは世界的に見ても非常に高レベルな徴収団体。競争するところは競争するが、一緒に取り組んでコストを下げたり、徴収の正確さを向上させるなど、できることがあれば協力していく。そんな関係であるべきと考えている。

権利者にしっかり配分、手数料も下げる

――これまで「利用者が支払う使用料は1%でも安く、権利者への分配は1%でも高くしたい」「権利者に選ばれ、利用者から支持される事業者となる」と主張してきました。

音楽は使われて初めて、経済的・文化的な価値が出ると考えている。利用者の手続きを簡単にして、使用料を適正な額とし、たくさん使ってもらえるようにしたい。権利者にしっかり配分し、手数料を下げるために、著作権管理以外の事業でも稼いでいく。新規事業も鵜の目鷹の目でいつも模索している。

「使えば必ず取る」という徴収の姿勢ばかりでは、街中から音楽がなくなってしまう。たとえば、『ジングルベル』や『きよしこの夜』といったクリスマスソングは権利の切れた楽曲も多いが、「使うとお金をとられてしまうのではないか」と萎縮し、流れなくなっている現実がある。フィギュアスケートなどの競技でも、「権利が生きている楽曲は面倒だからクラシックに限定しよう」といった動きもあるようだ。音楽がもっと流通するようにしていきたい。

昨今は、個人でも作品を発信する環境が整ったことなどで、アーティストの活動の形が変化している。また、YouTubeやFacebookのように、想像すらしなかったメディアが今後も出現するだろう。それに合わせて、音楽がどう使われ、どう健全に対価を徴収していくか。新しい才能や新しいサービスが出てきたときに頑固にならず、柔軟に対応することが大事だと思っている。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光、食品業界の担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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