ファーウェイとTikTok、中国で評価が異なる訳 トランプ大統領は90日以内の事業売却を指示

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ファーウェイ、バイトダンス、テンセント。「排除」の対象となった3社だが、取り巻く環境は異なる。ファーウェイは数年前からアメリカでは事実上締め出されており、現在はヨーロッパなど他の重要市場から排除されるかどうかの瀬戸際にある。

テンセントは売り上げに占めるアメリカ事業の比率は2%に満たない。一方で事業の幅は非常に広く、禁止対象が曖昧なため、アメリカ企業も損失をかぶるリスクがある。13日にはアップルなどアメリカの主要企業が、WeChat排除に反対の意を示したとも報道された。

バイトダンスは海外で成長しているTikTokのアメリカ事業が標的となり、アメリカ企業に売却するなら事業の存続を許可するとの条件を出されている。バイトダンスはアメリカ事業を切り離すことでトランプ政権から解放され、仕切りなおす余地もある点で、ファーウェイよりは選択肢が多いとも言える。

バイトダンスの創業者である張一鳴CEOは8月3日、従業員にメールを送り、「事業、従業員、企業の利益を考慮した結果、最善の策を取る」として、理解を求めた。

3社それぞれの立場の違い

だが、張CEOとバイトダンスにとって、アメリカ企業への売却が苦渋の決断であり従業員を守る最善の方法だとしても、中国人消費者の多くには理解されなかった。世界の対中感情が悪化する中、当然中国での対米感情も悪化している。トランプ大統領と「対決」するファーウェイが英雄視されたのに対し、バイトダンスは「売国奴」「負け犬」と捉えられてしまったのだ。

張CEOは8月4日、全従業員に再びメールを送信し、SNSでバイトダンスの方針が批判され、社員が自分の代わりにネットで論争に巻き込まれている現状を念頭に、こう記した。

「中国人が創業した企業がグローバル化を進める中で、国民から大きな期待を受けてきた。対米感情が悪化し、(アメリカ企業への事業売却を進める)バイトダンスに怒りの矛先が向かうのは十分に理解できる」

「正確な事情を理解してもらえないという事実は受け入れるが、しばらくいろいろ言われても受け流してほしい」

その文面からも、中国消費者のバイトダンスへの批判の強さと、従業員が受けているストレスの強さがわかる。

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