ファーウェイとTikTok、中国で評価が異なる訳 トランプ大統領は90日以内の事業売却を指示

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6月末に発売された同書には、トランプ大統領が2019年6月、「大統領選に勝つ材料として、ファーウェイを利用する」という趣旨の発言をした記載がされているという。さらに弁護団は「トランプ大統領がハイテク分野におけるアメリカの優位性を守るため、孟氏を逮捕した」証拠として、ファーウェイの5Gのシェアや技術力を示すデータも提出した。

アメリカ政府は世界各国に次世代通信規格である5Gの採用でファーウェイを排除するよう要請し、2019年5月、アメリカ製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発動した。2020年5月には台湾積体電路製造(TSMC)からファーウェイへの部品供給を遮断することを狙い、アメリカ製の製造装置を使っていれば、外国で製造した半導体でも禁輸措置の対象とすると発表した。

大統領選にらみ「政治問題」焦点化

ファーウェイもやられっぱなしだったわけではない。2019年はヨーロッパで企業活動を強化し、イギリスやフランス、ドイツが、5G基地局でファーウェイを排除しない方針を示した。母国の中国でも「同情」も背に、スマホのシェアを急激に高めた。

だが、コロナ禍と香港国家安全維持法によって、ヨーロッパでの対中感情が悪化し、7月14日にはイギリスが2027年までに5Gでのファーウェイ基地局を排除する方針に転じた。アメリカの制裁もいっそう厳しくなる可能性がある。

孟氏が逮捕された頃は、ファーウェイをはじめとする中国ハイテク製品のセキュリティー問題がクローズアップされ、同社もその疑念を払拭することに躍起だった。だが、トランプ大統領がTikTokの禁止に言及しだし、中国企業の排除がセキュリティー問題のみならず大統領選も視野に入れた政治問題として捉えられつつあるため、ファーウェイもここに至り、「トランプ大統領の政治利用と職権乱用」を徹底的に争点化していく戦略を選択した。

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