東大に「推薦で合格した人」の思考法が凄すぎた 頭の良い人は「何を、どのように」考えるのか

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結論から先に申し上げると、東大推薦合格者の人たちは「普段から常に考える習慣を持っている人たち」であり、そういう高校生をこそ、東大は求めています。

東大推薦入試の「普段から考える姿勢」を問う問題

東大推薦入試の問題は、どれだけ物事を記憶しているか、どれだけのことを「知っているか」を問うのではなく、どれだけ学問として難しいテーマと向き合ってきたかでもなく、普段の日常生活を送る中で、いかに考えて生きているのかを問う場合が多いのです。

東大の推薦入試からは、私たちが日常生活に立脚して、きちんと普段から「考えている」かを問う姿勢が垣間見えます。

推薦入試のやり方は学部によって異なるのですが、たとえば法学部の推薦入試では1つのテーマに関する85分のグループディスカッションを行って、グループで結論を出す、という形式が取られています。

「法学部の推薦って言ったら、すごく難しい法律の解釈の話とか、国の政策の話とか、そういう話題なんだろうな……」と思われる方が多いと思うのですが、実はそうではないんです。

2018年度の推薦入試では、以下のようなテーマが出ていました。

各種イベントのチケットの転売規制について、あなたは、どのように考えますか。「チケットの転売」を規制することには、誰にとって、どのような意味をもつのか、また、それにはどのような限界や問題点があるかについて、議論してください。

どうでしょうか? すごく身近なテーマですよね。チケット転売のニュースは頻繁に耳にするものですし、自分でチケットを手配した経験があれば自然と目にします。

そのときに、法律の限界や問題点、誰を救って誰を救えないのかといった法律を勉強するうえで重要な視点から「考えて」いれば、この問題に対応するのはそう難しくはなさそうです。

ですが、おそらくほとんどの人は、転売のニュースを聞いても「ふーん、そうなんだ」で済ませて、「考えて」はいないと思います。そういった人がその場でいきなりこの問題に対処するのは、かなり大変だと思います。

これ以外にも、工学部の推薦入試では「あなたが特に独創的であると感じた発明や発見を1つ取り上げ、なぜそう感じたか、説明しなさい」という問題が出ています。

他の学部でも、少し難しめの文章を読ませた後で「今の内容に関して、自分自身の体験や現代社会の諸事例を挙げながらあなたの考えを述べなさい」という問題を課していました。

このように、東大の推薦では自分たちの日常と結びつけることを求める入試問題が出題されているのです。

僕は、こういう「日常から学ぶ能力の高い人」こそが、「頭の良い人」だと思っています。

そもそも勉強というのは、身の回りにあることを学ぶためにやるものです。「りんごが落ちるのはなぜか?」という日常の中の疑問から、ニュートンは万有引力を発見したと言われています。

同じように、日常の中で、ニュースや現象に対して、「どうしてこうなんだろう?」「この問題はどうやったら解決できるんだろう?」と思考を巡らせることができると、それが自ずと「学問」になっていく、というわけです。

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