コロナの後遺症が当事者以外にも厄介すぎる訳 回復しても別の症状、医療費膨張のリスクも

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英国・イタリアでは、こうしたコストはそれぞれの政府が負担することになりそうだ。政府がCOVID-19治療の公費負担を約束しているからだが、どの程度の財源が必要になりそうか詳細は明らかにされていない。

米国では総人口の半分以上が民間の医療保険に加入しているが、保険業界ではCOVID-19関連コストの試算が始まったばかりである。

前出のニューヨーク市立大学のリー氏は、米国内のCOVID-19患者が退院後に負担する平均コストは年間約4000ドルになると試算している。主として、患者の約40%が抱える急性呼吸促迫症候群(ARDS)と敗血症による長期的な問題のためだ。

この試算は、中程度の症状による入院から最も重症の患者まで対象としているが、心臓や腎臓へのダメージといった、他に想定される合併症については考慮していない。

リー氏の試算によれば、入院には至らなかった患者でも、最初の発症後に負担する平均コストは年間1000ドルになるという。

「起き上がるだけでも辛い」

COVID-19の後遺症が長引くことで追加コストが生じれば、米国での医療保険料が上昇する可能性が出てくる。カイザー・ファミリー・ファウンデーションによれば、COVID-19の発生を受けて、すでに一部の医療保険では2021年度の総合医療保険の保険料を最大8%引き上げている。

テネシー州ノックスビルとアトランタで暮らす元精神分析医のアンヌ・マッキーさん(61)は、5カ月近く前に新型コロナに感染したとき、多発性硬化症と喘息を患っていた。彼女は今も呼吸に苦しさを感じている。

「調子の良い日は何回か洗濯もできる。でもここ数日、起き上がって台所で何か飲むだけでも辛い」と彼女は言う。

マッキーさんはこの間、診察・検査・処方薬に5000ドル以上も費やしてきた。医療保険からは、遠隔診療240ドル、肺スキャン455ドルも含め、1万5000ドル以上が支払われている。

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