格ゲー「鉄拳」世界最強の男が明かす強さの秘密 なぜパキスタン人はゲームが超絶うまいのか
「今日はこのインタビューが終わったら鉄拳の練習をします。今は新型コロナウイルスの影響で外出を控えているので、パキスタン人はみんな、オンラインでゲームを楽しんでいます。コロナ以前は、ゲームセンターに集まっていましたね」
アッシュがゲームと出会ったのは4歳の頃。自宅近くにあるゲームセンターに足を踏み入れたのがきっかけだった。そのうち、自宅のベッドではなくゲームセンターで寝るようになるほど、格ゲーの世界にのめり込んでいった。
「僕が子どもの頃のゲームセンターは、たばこを吸うような悪い大人たちが集まっている印象でした。一般の子どもたちが行くような場所ではなかったですね」
14歳で「パキスタン最強」に
そんな幼少期を振り返るアッシュの学生時代の成績は優秀だったが、同時に地元のゲーム仲間たちの間ではすでに“鉄拳の猛者”として知られていた。転機が訪れたのは14歳のとき。パキスタンで最大のトーナメントを制したのだ。以来、パキスタンで開かれる大会では向かうところ敵なし。やがて世界を目指すようになる。
「将来の職業としては公認会計士も考えていましたが、母親の反対を押し切り、人生のリスクを取ることにしました。ゲームで食べていくなんて、最初は誰も信じてくれなかった。でもゲームに対する情熱だけはあったんです」
アッシュは2018年暮れ、大会会場となるオマーンの首都マスカットへ向かった。パキスタンの南西、アラビア半島に位置する国だ。パスポートの取得、航空券の購入、ホテルの予約などは仲間に手配してもらい、初めて臨んだ世界の舞台でも頂点に立った。そしてスポンサーが付いた。
年が明け、続いて向かった先が、冒頭で紹介した福岡での「EVO JAPAN」だった。初めて日本に降り立った印象について、アッシュが思い出したように語る。
「街並みは美しかったけど、寒かった。パキスタンとは違って、どこでも無料でWi-Fiにつなげられる環境には感動しました。日本で唯一、困ったのはハラールフード(イスラム教徒が食べることを許された食事)を探すことでしたね」
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