半沢直樹の「上戸彩」が良い感じに浮いている訳 女優の自分を客観視し、子育てと両立する強さ

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もともと上戸さんは女優を目指していたわけではなく、子ども時代からの夢は保育士。「芸能活動をはじめてからも保育士の夢はあきらめられず、女優業を辞めることも考えた」と何度も語っていました。しかし、現実や責任などを考えた上戸さんは、その夢をあきらめるための区切りとしてチャイルドケアのライセンスを取得。「やりたいこと」と「求められていること」の整理ができるという点では、一流のビジネスパーソンに通じるところがあります。

現在の「子育て第一」という姿勢を支えているのが、CM女王としての顔。女優デビューからの20年間で積み重ねたCM出演数は女性芸能人トップクラスであり、「子育て第一」の今も、短時間の撮影で終わるCM出演のオファーは受けやすいのです。

これを所属事務所の目線で見たら、「短い撮影時間で高額を稼げるCM出演は生産性の高い仕事」であり、それが多い上戸さんは極めて優秀なタレント。「子育て第一」のスタンスでもCM出演で稼げるのなら、何の問題もないのです。上戸さんが所属するオスカープロモーションはこの一年間で、米倉涼子さん、草刈民代さん、忽那汐里さん、ヨンアさん、長谷川潤さん、岡田結実さん、富岡佳子さんなど多くの所属タレントが退社する衝撃に見舞われました。その理由はさておき、上戸さんは子育てに追われる現在も所属し続け、最大限の生産性を発揮し続けることで、恩義のある同社に貢献しているのです。

“女優・上戸彩”を客観視できる強み

上戸さんは発売中の雑誌『FLASH』の巻頭グラビアを飾り、変わらぬ美しい姿を各メディアが一斉に報じました。また、「半沢直樹」続編の放送開始直前に、2013年の前作が特別総集編として放送されましたが、立て続けに見ても7年過ぎたとは思えない姿に驚きの声があがっていました。その間、2児を出産し、子育て第一の日々を送りながらも、その美しさをキープしてきたことがプロ意識の高さを物語っています。

かつて上戸さんは“女優・上戸彩”と自分自身を混在させず、どこか別の人間のように客観視していることを明かしていました。さらに、批判の声についてどう思うか尋ねたときも、「自分だけど、自分ではない感じもあるので、批判も意外に受け止められるんですよ」と語っていました。

自分を客観視できている上戸さんなら、批判ばかりではなく、それ以上に愛されていることに気づいているはずです。だから、もし現在の否定的な声に気づいても、彼女なら前向きな気持ちで花を演じられるのではないでしょうか。

制作サイドは、原作小説に登場せず、本筋の物語とは関連のない花を第2話・第3話の予告映像に2カットずつ登場させるなど、その重要性をわかりやすい形で示しています。今後はどのような脚色で花の活躍を描き、上戸さんはどう演じていくのか。原作小説を読んだ人もわからないパートだけに、最後までその姿は話題を集めるでしょう。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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