「トラック運転手」その過酷すぎる労働の実態

このままでは「運べない事態」が発生する

大島:橋本さんの著書を読ませてもらいましたが、共通点が多く驚きました。ドライバーの実態を、ご自身の経験、インタビューやSNSでの情報収集を基に、非常にリアルに捉えられていました。

橋本:大島さんの著書で、ハッとさせられた部分はいくつもありましたが、私自身が気付かなかった点では「子どもへの教育」。これは非常に的を射ている指摘です。ドライバーの地位向上には、知ってもらうことが非常に重要となります。人材が集まらないのは、ドライバー職が抱える内的要因だけでなく、社会貢献など大事なことが知られていない外的要因もあるかと思います。

「トラックドライバーは責任感が強い人が多い」と話す橋本氏(写真:輸送経済新聞社提供)

大島:橋本さんは、ご自身もドライバーをされていましたが、ドライバーはどんな性格の方が多いですか。

橋本:まじめで熱い性格。1人が好きなのに、でも寂しがりの人が多いです。

大島:私も仕事でインタビューをさせてもらいますが、調査は10分で終わるのに、その後30分以上、座り込んで話をするといった経験があります。見た目は怖そうでも、とてもまじめな方が多いですね。

橋本:マイペースだけど、強い意志を持っていることも特長です。ドライバーは底辺職と言われやすい職種ですが、実は頭がよく、アーティスティックな人も多い。私のツイッターに「橋本さん、今日の夕日はきれいでした」なんて写真を送ってくれたり、ポエムを送ってくれたりする人もいます。

1990年の規制緩和で業界が変わった

大島:それは反応に困りますね。ドライバーは1人で仕事をするケースが多く、自分でトラブルなどに対応する力も求められます。どの仕事でも共通しますが、とくにドライバーは責任感が強いですね。

橋本:そう。責任感の強い人が多く、毎日一所懸命に仕事をしています。それなのに、ドライバーの地位や労働環境が改善されているとは言えません。

大島:トラック運送業界が大きく変わったきっかけは、1990年の規制緩和です。それ以前は、国が事業免許を与え、運送企業数を調整していましたが、経済の自由競争という欧米の考え方が日本でも優先されました。結果、「最低5台以上の車両を保有すること」などの条件を満たせば、比較的自由に参入できるようになり、企業数は90年の約4万社から、現在は6万社以上に増えています。

橋本:私も著書で書きましたが、規制緩和はトラック運送業界に大きな影響を与えましたね。

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