「トラック運転手」その過酷すぎる労働の実態 このままでは「運べない事態」が発生する

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大島:高速道路会社は大型車の駐車スペースを増設していますが、まだまだ足りません。ドライバーはまじめな性格の人が多いので、遅れてはいけないという意識が先行し、無理をして走ってしまうことはよく見られます。

橋本:もう少しドライバーの目線で、いろいろなことを考えていくと、スムーズに問題が解決できると感じます。ドライバーは熱い性格の人が多いので、「皆さんが経済、人々の生活を一所懸命支えている」と伝えると、すごく頑張ってくれます。

今回の新型コロナウイルスでも、普段通りの生活ができたのはドライバーのおかげと、世間から言われたことにとても喜んでいて。頑張りを周囲で励ますことは重要で、だからこそ、現実に抱える課題とのギャップにもどかしさもあります。

「運べない事態」が懸念される

大島:規制緩和以降、トラック運送業界は供給側の運送企業数が多く、高い品質を維持しながらまじめに仕事をしていたとしても、立場が弱い状態が続いていました。ところが、最近は需給バランスが逆転しています。いまも6万社を超え、企業数に大きな変化はありません。

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しかし、そこで働くドライバーが退職すると新たな人材を補充できず、人員は着実に減少しています。労働環境を改善できなければ、人材を確保できず、近い将来に「運べない事態」が起こることが懸念されます。

橋本:確かにドライバーは人手不足ですが、甘い世界ではないということも忘れないでほしいですね。

新型コロナの影響で仕事を失い、ごく一部で「ドライバーにでもなってみるか」という軽い気持ちで応募する人がいるそうですが、ほとんどが3日間もたないそうです。新入社員が入社した以上、現役ドライバーは業務の合間で教育をしなければならないので、「すぐに辞めるくらいなら来ないでほしい」という声をよく聞きます。

大島:長く勤まらないということは、責任感を含め、それだけ厳しい仕事ということですね。

大島 弘明 NX総合研究所常務取締役

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おおしまひろあき / Hiroaki Oshima

1988年、日本大学卒業、(旧)日通総合研究所に入社。主にトラック運送事業における事業環境の変化や労働・安全問題、物流効率対策等の調査研究に従事。近年は、トラックドライバーの労働時間短縮等働き方改革に向けたコンサルティングも担当。ドライバー不足、2024年問題への対応等に関する講演や執筆多数。現在、経済産業省、国土交通省、農林水産省による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」委員。著著「ドライバー不足に挑む!」(輸送経済新聞社)

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橋本 愛喜 フリーライター

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はしもと・あいき / Aiki Hashimoto

大阪府出身。元工場経営者・トラックドライバー。ブルーカラーの労働環境問題などについて執筆。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)。

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