「ポテサラおじさん」ドイツでは有りえない理由 「母親への要求が高すぎる」日本のモヤモヤ

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世界経済フォーラム(WEF)が昨年公表した「ジェンダー・ギャップ(男女格差)リポート」によれば、日本は153カ国中121位。一昨年は110位で順位を11位も落としたことから、女性たちを低く見る状況は明らかです。前述の「ポテサラおじさん」のように、自分の期待通りの行いをしない母親を見かけたら、それを批難する男性が出てくるのも日本では自然なことなのかもしれません。

ハードルが高すぎる「お母さん」という仕事

日本の社会は「お母さん」に対してあれこれと色んなことを求めがちです。たとえば、お弁当について。朝5時に起床してお弁当を作るお母さんは沢山いますが、「5時に起きてお弁当を作るなんて偉い」という声がある一方で、「母親なんだからそれぐらいは当たり前」という見方も幅を利かせています。

さらに、ただ作ればよいというものではなく、冷凍食品を使うのはよくないだとか、子どもが喜ぶようなお弁当(つまり「キャラ弁」)でなければいけないなど、お母さんへの要求は実に細かいです。

3人の子どもを育てる友人女性は、よくFacebookにキャラ弁の写真をアップしています。サッカーのワールドカップの時期には海苔を使っておにぎりをサッカーボール風にしてみたり、クリスマスシーズンにはブロッコリーでクリスマスツリーを作ったり、コロナ禍の今はキティちゃん風のおにぎりの口もとに長方形のチーズをのせてマスクをしているように見せたりと、とにかく凝っています。見ているこちらは楽しませてもらっていますが、こういったことを日常的に求められている日本のお母さんは本当に大変だなとも思います。

「手作り」が求められるのはお弁当に限ったことではありません。以前、知人女性が「娘が私立に行っているんだけど、学校の決まりで母親のお手製の布バッグを作らなくてはいけなくて。私、お裁縫が苦手なものだから、業者に頼んだんだけど、(業者の)タグがついたまま娘が学校に持って行っちゃって、お手製でないのが学校にバレて大変だったのよ~」と語っていました。

彼女は笑い話のように話していて、私もつい笑ってしまったのですが、よく考えてみたら、「母親がお手製のカバンを作ること」を学校側が勝手に決め、それに違反すると「母親が学校からお叱りを受ける」というのも、かなり変な話です。

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