トヨタが直営販社の一斉売却で示した意思 残る直営販売はトヨタモビリティ東京だけに

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縮小

「トヨタの番頭が大なたを振るった」

トヨタは販売店の経営を地場に任せることを基本方針としている。ここに来て直営店の譲渡が一気に決まったのは、2020年5月から踏み切った国内4チャネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)の全車種併売化も関係しているだろう。併売化は国内市場が縮小する中、販売台数の維持拡大を図るのが目的だ。今回の東京以外の直営店譲渡は、国内販売はすべて地場資本に任せるというトヨタの強い意思表示といえる。

譲渡される販社の中でも、大阪トヨタ自動車は大規模な販社のため「どこか1社に丸ごと譲渡するのは難しいだろう」(東海地方の販社社長)と言われていた。結局、レクサス事業は大阪トヨペットグループが譲り受け、大阪トヨタ自動車の株式(トヨタ事業及びグループ会社)を、久保グループのトヨタ新大阪販売ホールディングスグループとトヨタ南海グループが譲り受ける形になった。

直営販社の買収を決めた前出の販社社長は「冷静に考えれば、トヨタが直営店の譲渡を先送りする理由はない。(豊田章男社長の守り役で)番頭の小林(耕士取締役)さんが大なたを振るったということだろう」と話す。

縮小する国内市場で全国で約5000あるトヨタ系列の販売店が生き残れる保証はない。トヨタが直営販社を一気に地場資本へ譲渡することで各エリアでの勢力図も変わる。直営販社の譲渡はこれで終わりだが、今後、地場の販社で再編が加速する可能性もある。

東洋経済プラスでは、連載「トヨタ全車種『併売化』の衝撃」が無料でお読みいただけます。以下の記事を配信しています。
第1回 トヨタ国内チャネル「一本化」の必然

第2回「値引き券」に名古屋の店長が絶句、顧客争奪戦で優勝劣敗は必至

第3回 神奈川県、異色のトヨタディーラー社長が明かす日本市場の戦法

第4回 香川県、過疎地の販売店に活路はあるか
木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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