箱根登山鉄道「3カ月前倒し復旧」なぜ実現した?

西日本豪雨の鉄道復旧ノウハウも生かされた

作業を行うための重機などの搬入経路は2カ所確保した。1カ所は国道から既存の遊歩道に沿ってつくった搬入経路であり、蛇骨川の堆積物の除去作業などに使用した。

被災直後(上)と、復旧が完了した7月2日の小涌谷踏切付近(写真:箱根登山鉄道)

もう1カ所は、蛇骨陸橋から見て小涌谷駅側に位置する小涌谷踏切から進入する経路であり、既設の線路や枕木などをいったん撤去し、路盤をつくって舗装することで、重機が入れるようにした。こちら側の経路は鉄道の復旧工事に使用した。

なお、復旧工事全体についてまとめると、大沢橋梁の工事は西松建設が担当し、蛇骨陸橋の工事には清水建設が当たった。箱根登山鉄道実施分の工事費用は総額30数億円に上る見込みで、国(鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業補助を申請)と地方(神奈川県・箱根町)が4分の1ずつ負担し、残りの2分の1を箱根登山鉄道が負担する予定だ。

これとは別に被害が小さかったケーブルカー等の復旧費用は、同社が全額負担する。

迅速な復旧を支えた国の支援

今回、被害の甚大さに比して復旧工事が迅速に進捗した理由は、暖冬により降雪の影響を免れたことや、地元の理解が得られ、夜間作業を支障なく行えたことなどもあるが、箱根登山鉄道の担当者は、「国(国交省)が迅速に、復旧に向けた音頭取りをしてくださったことが大きい」と話す。箱根登山鉄道が被災状況に関する情報をウェブで発信した翌日には、関東運輸局の担当官が状況把握のために現地視察に訪れた。

また、今回の復旧に向けては、鉄道、道路、河川など、さまざまな関係者が連携する必要があったが、視察から1カ月を経ずに、国交省(鉄道局・道路局など本省の関係部局および関東運輸局等)、神奈川県、箱根登山鉄道が参加する会議体がつくられ、民有地であるために調整が難航しそうなのり面の補強工事を県の担当にするなど、役割分担が迅速に決定されたという。

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