携帯向けソーシャルゲームのグリー、独自の課金モデルで急成長も、モバゲー、ミクシィが猛反撃
携帯電話向けのゲーム、コミュニケーションサービスを主力とするグリーの業績が絶好調だ。2007年6月期には売上高わずか3億円、営業損益は1億円の赤字だったベンチャー企業は、今10年6月期には180億円もの営業利益が見込まれている。グリーの会員数は09年12月末時点で1673万人を数える。
驚異的な成長力の源泉は、携帯電話を使って遊ぶゲームの販売だ。魚釣りゲームの「釣り★スタ」、ペットを育成する「踊り子クリノッペ」、探検・発掘ゲームの「探検ドリランド」、それにガーデニングの「ハコニワ」の四つが主力タイトルである。
携帯電話向けのゲームといっても、昔からあるような、ゲームアプリを1本1本ダウンロード販売し、月額課金制で遊ばせるビジネスモデルとは違う。グリーのモデルは、アイテム課金モデルといって、ゲームで遊ぶこと自体は無料だが、ゲームの中で使うさまざまなツール(アイテム)やサービスに課金するというものだ。
無料でも遊べないことはないが、より楽しむためには有料の「アイテム」を購入しないといけない仕組みになっている。最初の敷居を低くしておいてユーザーを獲得し、その後、収益につなげていくわけだ。
たとえば代表タイトルの「釣り★スタ」の場合、無料の会員登録をすれば、ゲームを始めることが可能だ。しかし、最初に無料で与えられた釣り道具は時間がたつと壊れて使えなくなってしまう。
続けて遊ぶには仮想通貨を使って釣り具を購入しなくてはならない。仮想通貨は直接グリーから買うか、友人をグリーに加入させたり、グリーに広告を出している携帯サイトに登録するといったことをしなくてはならない。
交流要素が成長のカギ
アイテム課金モデルの場合、継続的にゲームの利用を促す仕組みが収益拡大のカギになる。グリーの強みは、コミュニケーション要素を巧みに織り込んだゲーム作りをすることで、ユーザーを飽きさせない工夫をしている点だ。