人の話を「理解できる人」と「できない人」の差 リモートワーク時代にも役立つ聞く力を磨く

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簡単な例題を出すので、試しに取り組んでみてください。

「論点」と「意見」で整理してみよう

「キックオフ・ミーティング? あれは開催までの調整やら連絡が面倒だよね。誰を呼ぶかとか、どのくらいの時間にするかとか、どこでやるのかとか。あと、議題を決めて資料の作成なんかも手分けしないといけないし。始まったら始まったで、議論するのかと思いきや、一方通行の報告だったり。自由に発言してもいいと言われて発言したら怒られて、で、結局偉い人の一言で結論が決まってしまったりして。それに、決まったことが実行されればいいけど、かえってモチベーションが下がるだけになったりする。だから、やらなくてもいいんじゃない?」

文章で読めば、まだわかりやすいかもしれませんが、同じ内容を語りで、ぱっと聞いただけでは、話し手が何を言いたいのか、何を相談したいのか、よくわからないのではないでしょうか。そこで、このように複数の内容がいろいろと述べられる発言に対しては、主旨を大きく捉えながら、論点と意見で整理するというアプローチをとってみましょう。

まず、この発言で最もこの人が言いたいことは何かを考えてみます。

いろいろな意見が述べられていますが、いちばん言いたいことは、「キックオフ・ミーティングはやらないほうがいい」ということのように思われます。論点は、この意見が答えになるような問いを考えることで明確化できます。「キックオフ・ミーティングをやるべきか」が論点となります。

したがってこの発言の主旨は、以下のように整理をすることができそうです。

「論点」:「キックオフ・ミーティングをやるべきか」
「意見」:「キックオフ・ミーティングはやらないほうがいい」

そう考えると、ほかにいろいろなことを述べていますが、それらはキックオフ・ミーティングに反対する理由にあたるものと考えてもよさそうです。

すると例えば、「準備は楽か」「実施して有益か」「行った後、仕事にプラスになるか」という論点に対して、いずれもNoという意見であると整理することができそうです。

出所:『入社1年目から差がつくロジカル・シンキング練習帳』

このように、話し手の発言内容をそのまま捉えるのではなく、どのような論点に対するどのような意見で構成されているのかを理解しようと試みてください。発言を聞きながら、同時にその発言を構造的に捉えることは、難易度が高い取り組みです。

次ページどういう論点に対してどのような意見なのか、関係性を捉える
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