日本の女子高生が「中国コスメ」にハマる理由 現地では新興ブランドが続々登場している

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新興の中国メーカーは特に1990年代生まれの「90後(ジューリンホウ)」と呼ばれる若者を中心に支持を集めてきた。彼らを取り込めたのは、中国メーカーの化粧品が、質が良くて安価になっただけではなく、他にもいくつかの要素がある。

中国では主にオンラインで化粧品が購買されている。新興の中国メーカーの多くも実はオンライン発である。中国化粧品メディアC2CCとリテールテック企業の有賛が発表した「2020年美容業界の発展動向インサイト」によると、これまでのテレビやタオバオ(アリババが運営する現地EC)といった場で行われていた化粧品マーケティングは、2018年頃からソーシャルプラットフォームに移行。短時間動画やライブコマースなどを用いてKOL(インフルエンサー、Key Opinion Leader)のコンテンツを発信している。

また現地では、「中国版インスタグラム」と言われるRED(小紅書)や、メッセージアプリのWeChat(微信)で美容情報が広く発信されている。消費者の多くはタメになる情報や口コミを求めてアプリを開き、KOLだけでなく一般ユーザーの使用した感想を得ている。

アニメやドラマ、タピオカ店とコラボも

そこで中国メーカーも、SNS上でさまざまなコンテンツを発信している。例えば前述の「完美日記」はWeChatでトークグループを作り、顧客と直接繋がっている。日本でも企業がLINEなどを使用してユーザーへメッセージを送ることがあるが、「完美日記」の場合は双方向のコミュニケーションだ。かつ送信されるメッセージは宣伝だけでなく使用方法や美容テクニックなどのコンテンツも多い。濃厚なコミュニケーションでファンの心を掴み、リピーターを育てている。

紫禁城(故宮博物院)もコスメを発売している(写真:故宮博物院のTモール旗艦店サイトより)

さらに新規客を獲得する方法として、外部とのコラボレーションなども積極的に展開している。例えば昨年は、北京の世界遺産・紫禁城とのコラボアイテムが複数のブランドから登場した。これは紫禁城600周年というアニバーサリーに絡めた物であったが、ちょうど若者の中では「国潮」と呼ばれる伝統文化を重んじるトレンドが起こっており、まさに伝統の象徴である紫禁城に惹かれる人が多かったことも原因の1つと言える。

最近ではスキンケアの「Winona」が中国郵政とコラボしたことも話題になった。これは国産品と国の輸送機関という国の力が結びつき、新型コロナからの復興の光となるというコンセプトで、注目を集めた。このほかにも、アニメやゲーム、ドラマなどのコンテンツや、地元民に愛されるレストランやタピオカ店とのコラボも出てきている。

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