GoToキャンペーン迷走で加速する官邸地盤低下 秋の解散説は消滅?東京五輪も開催困難に
新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も、個人的見解としながら「感染が拡大しているなら、全国的なキャンペーンをやる時期ではない」と計画見直しに言及。与党内でも岸田文雄政調会長らが慎重な検討を求め、公明党の山口那津男代表も「世論の反発を懸念して推進論から慎重論に転じた」(党幹部)ことが政府への見直し圧力となった。
約1400万の都民を対象外にすることで、事業の効果がかなり減殺されることは確実だ。しかも、東京と生活圏が重なり、軌を一にして感染拡大が目立つ千葉、埼玉、神奈川3県は事業対象となった。
「東京を通過する旅行はどう扱うのか」などの混乱要因は目白押しで、首都圏からの旅行者急増が各地の感染拡大につながれば、政府の責任論だけでなく、肝心の観光支援策は計画倒れともなりかねない。
秋の衆院解散はありえない
小池知事は16日夜、政府からの事前説明がなかったとしたうえで、「国として都民、国民に対しての説明が求められるのではないか」と述べた。小池氏は「まずは都内の(新型コロナウイルスの)感染を抑え込む。そのうえで安心して観光ができる状態にしていく必要がある」と都の公式動画で都民に呼び掛けたが、17日も293人と2日連続で最多を更新するなど、当分は感染拡大が続きそうな状況だ。
今回の政府の迷走が安倍首相の今後の政局運営に影響を与えることは確実だ。ここにきて、自民党内では麻生太郎副総理兼財務相が「今秋解散」に言及するなど解散風も加速していた。しかし、東京の感染拡大が全国にも波及し始めている現状から「もう、秋の解散などありえない」(閣僚経験者)との声が強まっている。
さらに、政府が重要な観光支援事業から東京を除外せざるをえなかったことで、「2021年夏の五輪開催の可能性がますます薄れる」との見方も広がる。「国内でも東京に旅行できないのに、外国から観光客を呼べるはずがない」(閣僚経験者)からだ。
東京除外は小池氏にとって「五輪開催中止の可能性を広げ、主催者の首を絞める結果となりかねない」(五輪組織委幹部)だけに、都庁幹部からは「いうことを聞かない小池氏に対する、政府の嫌がらせ」との愚痴も漏れてくる。
安倍首相自身が「第3次世界大戦に匹敵する国難」としたコロナ禍には「政府、自治体、国民の英知を結集したワンチームでの対応が必要」(自民長老)なのは自明の理。このような状況を続ければ、安倍首相の今後の政権運営が「求心力どころか遠心力ばかりが際立つようになる」(同)のは避けられそうもない。
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