大学入試の「志望理由書」で絶対に通過するコツ 「大学へのラブレター」の正しいまとめ方
このように、あなたの過去と、今後の人生のストーリーを作る。これこそが、志望理由書の「核」となります。別の見方をすると、志望理由書を書く際のセオリー(確立された方法)です。志望理由書を書くことは、あなたの人生の物語を組み立てる作業、とも言えるのです。
「きっかけ」よりも「学問分野への関心」
先ほど挙げた4つのステップの「A」「B」「C」「D」のうち、実は、採点者である大学の先生に強調して伝えたいのは「B」と「C」です。
相手(入りたい大学)に好意を伝えるために大切なのは、メリハリです。強調すべきところをどこにするか? 自分の中でそれを明確にすることで、読み手に響く組み立てができるのです。
では、この2つの作業をする際の注意点についてお話ししましょう。まず「B」からです。
僕はこれまで、数えきれないほどの志望理由書を読んできました。そこで本当によく見るのが、「A」、つまり「きっかけ」に偏っている志望理由書です。例えば、
「子どものころから本を読むのが好きで、文学部を目指した」
「中学のときの先生に憧れたのがきっかけで、教師になろうと思った」
「そもそもルールや規則を守ることを大切にしてきたので、法律に興味を持った」
「ボランティアで高齢の患者さんに、ありがとうと言われ、看護師を目指すようになった」
これらに共通するのは、思い出レベルの話、具体性ゼロの漠然とした体験を書いているにすぎない、ということです。これでは、単なる感想文になってしまう恐れがあります。
ですから、志望理由書では、「A」より、むしろ「B」を強調して書かなければなりません。つまり、「きっかけ」から、「学問分野への関心」にどのように熟成されていったのか、その過程を相手に伝わるように書き出すことが大切なのです。
例えば、先ほどの例に出したように、「子どものころから本を読むのが好きで、文学部を目指しました」と書いたとします。
本を読むのが好きであるということはすごく結構なこと、いいことです。ですが、本は無数にあります。ジャンルもたくさんあります。本は星の数ほどあります。ですから、少なくとも、どんな本が好きなのか、どの作家が好きなのかぐらいは書きましょう。
例えば、「芥川龍之介が好きで、ほとんどすべての作品を読みました」と書けば、先ほどの文章とは印象がまるっきり変わります。読み手は、この子は「どの作品が好きなのかな?」と思うでしょう。
では「教科書に載っていた『羅生門』が好きで、何度も読みました」と書いたら、どうでしょうか。僕だったら、なぜ『羅生門』が好きなのか?と聞きたくなります。
「私は芥川龍之介の文体が好きです。英語に翻訳された『羅生門』を読んだのですが、芥川の独特な文体が失われているように思いました」
ここまでわかれば、「この子は本当に文学に関心があるんだな」「日本語の文体と英語の文体の違いについて学びたいのかな」、と思ってくれるはずです。
さらには、「ほかの子とは違うかもしれないな」「大学でもしっかり勉強しそうだな」と思ってもらえたら勝ちです。
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