個室寝台列車は「密」を防げる最強の交通手段だ

コロナ禍を機に長距離移動手段として復活を

鉄道車両はもともと、窓が開かなくても車内の強制換気を実施しているうえ、個室であればさらに安全度が高い。そうすると、列車内のほとんどの設備が個室となる夜行の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は極めて安全であり、コロナ禍でも安定した輸送手段であるといえる。

「サフィール踊り子」の個室(撮影:尾形文繁)

寝台夜行列車は2000年代に入ると、新幹線の延伸やLCCの台頭、高速バスの居住性の改善などに加えて車両の老朽化なども重なって廃止が進んだ。今では定期的に運転される寝台夜行列車は、「サンライズ瀬戸・出雲」だけになってしまった。

だが、残った寝台夜行列車である「サンライズ瀬戸・出雲」の乗車率は高い。その理由は、新幹線や航空機の最終便の後に出発して、翌日の始発便を利用するよりも早く目的地に到着する点のほか、ほとんどが個室寝台で防犯上も安全性が高く、快適な旅行ができる点にもある。

夜行バスと差別化が図れる

夜行高速バスも、車内の強制換気を行うだけでなく「3密」を避けるために、窓側だけ座席を販売したり、座席にフードを設けたりするなど「飛沫感染」を防止する対策を実施しながら、運行が再開されつつある。

だが「個室」は、一部に事例はあるものの航空機、高速バスでは最上級クラスなどを除けば難しいサービスである。一方で寝台列車では個室の導入は容易であり、ほかの輸送機関と差別化を図ることができる。

筆者は以前、寝台夜行列車を復活させる場合は個室寝台車が中心となり、そこへ食堂車やロビーカー、シャワールームなど、ほかの輸送機関では真似ができないサービスを展開する必要がある旨を述べた。新型コロナウイルスの感染が広がる中、個室寝台は快適なだけではなく、「3密」を避けた状態で、安全かつ安定して長距離を移動することが可能な手段となりうる。

そうなると、どの区間や路線およびどの列車を復活させたり、新設したり必要があるのかが問題となる。

筆者は、まず復活させる必要性があるのは東京―大阪間の寝台夜行列車だと考える。かつて同区間には寝台急行「銀河」が運行されていたが、車両の老朽化を理由に、2008年3月のダイヤ改正で廃止されてしまった。だが、同区間には夜行高速バスが頻繁に運行されているだけでなく、東海道新幹線の1日当たりの断面交通量は、35万人程度あることもあり、潜在的な需要は期待できる。

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