大リストラに追い込まれたベスト電器、ビックカメラ連合に漂う暗雲
家電量販業界で大ナタが振るわれた。
九州地盤の業界中堅、ベスト電器は子会社さくらやの15店全店を2月末までに閉鎖すると発表した。首都圏攻略を狙い、2006年に企業再生ファンドからさくらやを買収したが、店舗規模が小さく集客力に欠け、黒字転換できなかった。
ベスト自身も09年に逮捕者を出した郵便法違反の打撃などで、エコポイント特需下にかかわらず大苦戦。09年度の連結業績は過去最悪の営業赤字45億円に陥る見通し。経営再建策として、今後2年間で国内外の直営店280店のうち、さくらやを含め最大70店を閉鎖。関連人員も数百人規模でリストラする。有薗憲一会長ら経営トップ2氏は引責辞任を余儀なくされた。
“九州の家電王”のつまずきに慌てたのは、ビックカメラだろう。
ビックは07年にベストへ出資を始め、年商単純合算ベースでの業界2位連合として首位・ヤマダ電機への巻き返しを狙ってきた。これまでにベスト郊外店をビックFC店に衣替えするなど関係を強化。近い将来、ベストの連結化で名実ともに2位企業に浮上する青写真もあった。
その途上で、盟友の経営再建。ビックは「一時的には痛みを伴うが、将来にとってはプラス。両社の提携は今まで以上に強化する」(経営企画本部)とするが、さらなる資本関係強化は、ベスト再建が完了する2年後まで難しいというのが業界関係者の見方だ。