コロナで強制移住した男性「田舎暮らしの実態」

食事や仕事、生活費、人間関係はどうなのか

ここでは、夏も夜は25度を下回るといい、都会の寝苦しい熱帯夜とは無縁の世界。少し前には、庭を蛍が飛び交い、満点の星空が楽しめる。部屋には涼やかな風が入ってきて、朝は鳥たちのさえずりで目覚める。

人間関係はどうだろうか。確かに、田舎は都会に比べて人間関係が濃密な部分はある。新たに移住してきた新住民は、一挙手一投足を見られている部分はあるだろう。ただ、地元の人でも「付き合いはほどほどに」という人もいる。あまり深入りせず、適度な大人の関係を築ける人が多いので助かっている。

都会に住んでいた頃より充実した人間関係

逆に都会では希薄な人間関係も田舎の魅力である。炭焼きのプロフェッショナルや自然食の大家、腕に自信を持つ猟師、「種採りユーチューバー」を自称する自給自足生活を送る青年など、魅力的な人々が近隣に住んでいる。

そんな人たちと関わることで、学ぶことも多い。田舎暮らしを希望する、ある男性は「都会には人間関係があるようで、本当の人間関係はなかなか存在しない」と言うが、筆者も都会に住んでいたときよりも、充実した人間関係を築けているように思う。

畑や山林の手入れ、家の改修で気づけば1日が過ぎていくが、魅力的な人々と関わる時間も大切だ。とくに、集落という狭い範囲にこだわらず、興味のある人がいれば積極的に足を運ぶようにしている。だから、時間はいくらあっても足りない。都会で暮らしていたときよりも毎日が忙しい。

田舎では、集落に住むなら限られた人間関係が永続するケースもあり、実際に口もきかないといったように、こじれてしまう関係も存在する。都会なら隣近所との関係は希薄であり、問題にならないことも、田舎では問題になり、しかも逃げ場がない。

例えば、山菜採りに関して、移住者の先輩から、こんな忠告を受けた。公共の土地で山菜を採ったとしても、他人が所有する山林から山菜を手に出てきたら、その人は勝手に人の土地で山菜を取る人としてレッテルを貼られてしまうかもしれないという。

田舎では、噂話が広がるのが早い。こうした印象が一度でもついてしまうと、なかなか汚名をすすぐのは難しい。人間関係が濃密なだけに、誤解を招かないよう生活しなければならないのも、都会と田舎の生活の大きな違いだろう。

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