森永卓郎「東京を捨て田舎暮らしを選んだ理由」 人生観に応じて住みたいところに住めばいい

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都心の地価のバブルは間もなく崩壊すると拙著『年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学』でも書きましたが、いまはそのピークの状態にあると考えられるでしょう。アパートでも3畳一間で8万円などという、信じがたいほど高い賃料が設定されています。

その狭い中で暮らそうと思うなら、「断捨離」しかありません。徹底的に物を排除する。テレビやパソコン、冷蔵庫すらない人もいます。そういう人に「どうやって生きていくの?」と聞くと、「コンビニがある」と答えるわけです。

目の前のコンビニエンスストアで必要な物を買えば、冷蔵庫は必要ないという考えです。しかし、そのような暮らしは食費を必要以上に高いものにするし、地震などのリスクに対してあまりに脆弱と言えます。

食品は腐るため買いだめができず、生活用品を大量に買うとストックする場所がありません。そのため、コロナ禍のような緊急事態になると、スーパーに殺到。商品の奪い合いが始まり、生活が回らなくなってしまいます。

災害にも強いトカイナカ

都会に比べると、トカイナカは災害のリスクに強いのが特長です。東日本大震災のときも、私の家族はほとんど困りませんでした。普段から家の中に物が山のように積んであるし、食料も1カ月もつぐらいのストックはあります。

私は自分で畑もやっていますし、家の周りは畑だらけなので、スーパーに買いに行かなくても、旬の野菜が農家の「直売所」で買えます。ケージのようなものが置いてあり、そこに100円を入れて持って帰る方式です。

コロナ禍では、ニューヨークで野菜が買えなくなりパニックになりました。ところが私のところは野菜がなくなることはありえません。近所の畑だけではなく、わが家の庭にも畑にも、野菜が植えてあるからです。

テリー伊藤さんが、東京大空襲を経験した女性から聞いた話を教えてくれました。東京が火の海になって食べるものがなく、女性はずっと北に向かって歩いていったそうです。ようやく食べ物を手にできたのは、埼玉県に入ってからだったそうです。都会と所沢の違いを象徴する話です。

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