映画の「邦題が違いすぎる問題」背景にある事情 映画「ザ・バケット・リスト」の意外な邦題

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「隣の芝生は青く見えるものなんだ」「そうですか? 私にはグリーンに見えますよ」
「紅白歌合戦、赤組キャプテンは……」「え? 『紅』組じゃないの?」
「皮肉」皮と肉をどうするのですか?なんだか残酷なものを想像してしまいますが……などなど。

どれも日本人だからといって説明できることではないですよね。真面目な話をすると、外からその国の文化を眺めた人にしか見えてこない疑問というものがあり、その異なる意見に耳を貸すということで改めて自分の属しているコミュニティの文化や伝統を知ることになります。これが昨今重要になってきている「ダイバーシティ」のメリットにほかならないと思います。

で、結局バケットリストの由来はなんなの、という質問に答えると、ちょっとショッキングなのですが、首つりをするとき、台に使っているバケツを蹴るところから「Kick the bucket」=死ぬというイデオムがあります。そこから「Bucket=死ぬとき(までにやりたいことの) List」という言葉が生まれました。まあ、私も辞書で調べて初めて知ったのですが。

邦題が違いすぎて映画談義が難しい

そんなバケットリストですから、背景を知らない日本社会で映画のタイトルにしてもなかなかヒットしそうな感じはしません。邦題『最高の人生の見つけ方』をつけたのは納得できます。それにしても、日本では映画にまったく違う邦題をつけるケースが非常に多く、せっかく同じ映画を見ているのにこの「邦題全然違う問題」が大きな壁となって、なかなか映画談義に花が咲きません。

実は、よく日本人の同僚から相談を受けるのが「アメリカ人と仕事の会話はできるが雑談ができない」「夜の会食の時など何を話せばいいのか」というものです。本来映画などは格好の雑談ネタなのですが、映画の話がタイトルの段階で食い違ってしまうのは痛いですよね。

とは言え、「雑談でNGなもの」もあります。これは注意が必要です。

とくに気をつけたいのが政治と宗教の会話です。日本では時候のあいさつがわりに政治批判をする人もいますが、海外では基本的にビジネスの場に政治信条を持ち込まないというのが暗黙のルールとなっています。とくに私のいるIT業界ではいろいろな国から人材があつまるので、政治や宗教で対立する立場の人同士が一緒に仕事をすることがあります。海外のビジネスパートナーと突っ込んだ政治の話は避けたほうがいいでしょう。宗教の話は言うに及ばずです。

一方で、だからと言って「ウチの会社は○○人お断り」「○○教の信者が経営しているとは取引しません」というは間違っています。私の勤めるレノボでは、取引先企業を決める購買基準として「マイノリティが経営陣に入っているか」「経営陣での女性の割合はどのくらいか」ということも考慮していて、それを公開しています。

こうした姿勢を会社として公開することで、今度はレノボが同じような購買基準を持つ会社から採用いただけることになります。マイノリティの方や異なるバックグラウンドの人を尊重していることが新しい取引を生み、経営として発展してゆくわけです。この循環を作ってゆくことが「持続可能な経営」だと思います。

脱線してしまいましたが、大事なことかと思いますのでご容赦ください。

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