ニチイ学館、MBOに見え隠れする「創業家の利益」

展開次第では「第2のユニゾ」化の可能性も

介護業界最大手のニチイ学館のMBOをめぐり、投資家から疑問の声があがっている。写真は東京・千代田区のニチイ学館本社の入るビル(撮影:尾形文繁)

「しっかりとした手続きを踏まず、こんなタイミングで、どうしてそんなに急ぐのか」

介護業界最大手のニチイ学館は5月8日、アメリカの投資ファンド・ベインキャピタルと組んでMBO(経営陣が参加する買収)を実施、株式の非公開化を目指すと発表した。しかし、ファンド関係者からは上記のような声があがっている。

複雑なMBOのスキーム

MBOのスキームは複雑だ。

まずベインが270億円を出資して設立する受け皿会社が、3メガバンクと野村證券グループから986億円の資金を借り入れで調達。5月7日の終値1094円に37%のプレミアムを乗せた1株1500円で、6月22日までを期限にTOBを実施する。新株予約権買い取りと合わせて買収総額は1000億円規模にのぼる見通しで、ニチイ学館の森信介社長のほか、創業家一族も応募する。

TOBの完了後は、創業者で2019年9月に会長のまま亡くなった寺田明彦氏の妻が代表を務め、24.76%のニチイ学館株を保有する資産管理会社を受け皿会社に譲渡し、創業家一族も受け皿会社に出資。その上で、6月24日に開催される株主総会で、受け皿会社がニチイ学館を子会社化して上場廃止するというものだ。

非公開後も森社長が引き続き経営に当たり、創業家で長男の寺田大輔副社長は退任するが、次男の寺田剛常務が新たに副社長に就任するという。

だがこのMBOに、ニチイの株主でもある香港の投資会社リム・アドバイザーズ・リミテッドが「待った」をかけた。ニチイ学館に対して質問状を送付し、公開討論会で話し合おうと呼びかけたのだ。

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