新宿駅、自由通路完成で「私鉄の近道」消える? 小田急・京王から中央東口へJR改札内を通過

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JR新宿駅の東西自由通路は、2012年から整備が開始された。東西の移動が不便な状況を改善し、回遊性や利便性を向上させる一大プロジェクトだ。通路部分を拡幅したのに加え、改札内のスペースも拡張して地下空間を広げた。24人乗りの大型エレベーターも設置し、車いすの人や足の状態が悪い人にも、楽に改札階とホーム階の移動ができるようにした。

すでに9・10番線(中央本線特急)、13・14番線(山手線内回りと中央・総武線各駅停車千葉方面)の各ホームにはエレベーターが設置されており、今後6月28日には15・16番線(山手線外回りと中央・総武線各駅停車三鷹方面)、7月中旬には11・12番線(中央線快速高尾方面)の各ホームにも設置される。

東西自由通路の完成と改札内の歩行空間が広がることで、ラッシュ時の人の流れもスムーズになるだろう。エレベーターの充実でバリアフリーへの対応もこれまでより向上し、多くの人にとって使いやすい駅になる。こういったポジティブな変化が、東西自由通路整備の真の狙いである。

東口がゆとりある空間に

東西自由通路の完成により、新宿駅東口周辺にはさらに多くの人が流れ込んでくることをJRは予測している。

新宿駅東口の交番前。柵が設けられ、周辺で工事が進んでいるのがわかる(撮影:梅谷秀司)

今も(少なくともコロナ禍前までは)、東口周辺は終日混雑しており、とくに平日の夕方や土休日は駅入り口のあるビル「ルミネエスト」の周辺に待ち合わせなどの人々が大勢集まる。これまでは広場内に車道があったため、横断歩道の手前で人が滞留しやすい傾向があった。

その状況を改善するため、東口駅前広場では車の動線を変更し、歩行者空間を拡張する工事も同時に進めてきた。こちらも7月中旬に完成する予定だ。歩行者のためのスペースが広がることで人の流れがスムーズになり、混み合っているイメージの強い東口もゆとりある空間になるだろう。

東西自由通路の開通を契機として回遊性が向上し、駅周辺は現在よりも歩きやすくなる。その中で、私鉄各線から中央東口への通り抜けといった、これまでの新宿駅の「作法」も変化していくことになるだろう。利用者の声に耳を傾けながら、さらに便利な駅になるよう整備が進むことを望みたい。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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