コロナで考案!車で楽しむ音楽フェスの可能性 「ドライブインフェス」は定着するのか?
土砂降りの6月13日の土曜日の午後。
そこが、その夜に開催される「ドライブインフェス」のDJブースであった。「初めてのイベントに、こんなひどい雨。本当にうまくいくのか?」という疑問を胸に、イベント開催の夕刻を待った。
ドライブインフェスとは、コロナ禍における新しい音楽イベントの提案だ。ドライブインシアターのように、ステージに向かってクルマを並べ、観客はDJブースからの音楽をクルマの中で楽しむ。音楽はステージのPAスピーカーからも発せられるが、基本的にはクルマのFMラジオを通じて提供される。
会場の一角には食事や飲食を提供するキッチンカーが用意されており、観客はスマートフォンアプリを通じて、飲食物を購入することも可能だ。ただし、飲食物のデリバリーは、人同士の接触を減らすためにイベントスタッフが代行する。
観客は、イベントの間はクルマの外に出ないことが基本で、トイレに行くときもスマートフォンアプリを使って、行列ができないように管理されるのだ。
「もともと音楽イベントをたくさんやっていましたが、コロナの影響でできなくなって、大きな夏フェスもできなくなりました。ステイホームの期間は終わりましたが、音楽フェスができないのが長く続くのは問題。そこで、ソーシャルディスタンスをとった安全な形でできる音楽イベントを考えました」
主催者の一人であるアフロマンス氏(Afro & Co.)は、発案の理由をこのように説明する。
料金は1台1万円。募集4日間で40台が集まる
昼間のひどい雨は、開場時間となった17時ごろにはやみ、少しずつ観客のクルマが会場に現れる。
クルマを見ると、関東圏がほとんどだが、仙台や名古屋、豊橋というナンバーも。今回のイベントは、テスト開催ということもあり募集はわずか50台。料金は1台につき1万円だ。
募集は、開催日のわずか4日前からであったが、40台分以上のチケットが売れたという。ちなみに最終的にやってきた観客は45台。野外イベントで日中が大雨でありながら、ほとんどキャンセルが出なかったのも、クルマの中から楽しむこのイベントの特徴だろう。
日没直前となる薄暮の18時半、定刻通りにイベントがスタート。軽快なビートが会場に鳴り響くが、大音量ではなく会場内の前方でも普通に立ち話ができるほどであった。
「どうやってコミュニケーションをとっていいのかがわからないので、楽しくなったらライトやウインカーで応えてくれると嬉しい」とのアナウンスに、来場者のクルマはライトのパッシングで応答する。
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