コロナで考案!車で楽しむ音楽フェスの可能性 「ドライブインフェス」は定着するのか?

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会場での音量が小さいのも、周囲への悪影響が少なく開催しやすさになるだろう。小雨程度であれば問題なく実施できることも、今回のイベントを通じてわかった。そして何よりも、DJのパフォーマンスに対して観客の反応があり、それが一体感を生み出せていたことが確認できた。

だが、良いところだけではなく、もちろん課題もある。もっとも気になるのが、ビジネスの根幹となる採算性だ。

今回は50台の募集だったが、1台1万円としても入場料で得られる売り上げは50万円だ(筆者撮影)

「出演料やスタッフの賃金は、もちろん発生しています。ただ、現在のところお友達価格というか、これに共感してもらっているという価格です」とアフロマンス氏。しかし、それでも50台の観客から集まる収入は、50万円にしかならない。今回のように会場を設営し、スタッフを配置すれば赤字になる。

「ベースになる費用をいかにミニマムにできるかが重要です。いわゆるドライブインシアター形式でやると、モニター代がすごく高いんですよ。たとえばモニターを1つ入れるだけで、その他の全部の費用よりも高いほどです」とアフロマンス氏。

今回は、モニターなしのセットであったが、それでも赤字だ。では、どのように事業化するのであろうか。

規模を拡大した第2弾を夏に予定

「たとえば、開催を中長期にするという考えがあります。お金がかかるのは会場の設営なので、1日やっても1週間やっても、設営費はあまり変わらないんです。海の家みたいに場所を1カ月借り切ってアーティストを日替わりにするとか、フェスの場所を作ってしまう手があります。また、より多くの人に見てもらうため、配信と組み合わせる方法もあるでしょう」とアフロマンス氏。

たとえば1万人が配信で観ていても、現場に行けるのは100台だけだとすると、それはプレミアムな体験になるはずだ。こうした、配信とリアルの”合わせ技”がビジネス面では重要になる。

現場に行くことをプレミアムな体験にするなどの戦略が必要だ(写真:きるけ。)

アフロマンス氏は、今回のテストイベントの内容をホームページで公開するつもりだという。また、7月下旬から8月上旬にかけて、規模を2~3倍に拡大しての開催も考えているそうだ。

「ドライブインフェス」という形のイベントは、採算性さえクリアできれば、全国各地に広がる可能性を感じさせるものであった。しかし、逆に言えばコロナ禍だからこそ、生まれた特殊なイベント形態でもある。もしかすると、コロナ騒動が収まれば消えてしまうものかもしれない。その儚さも、このイベント魅力と言えるだろう。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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