矢部浩之「あえて岡村を公開説教した」深い事情 「ナイナイのANN」復活が打ち消す2人の不仲説

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そんな中で先日、岡村のラジオでの失言が注目を集めた。岡村の所属事務所である吉本興業は本人の名前で謝罪文を発表。4月30日深夜の『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』では、岡村がたどたどしい口調で謝罪と反省の言葉を繰り返した。重苦しい空気が流れる中、スタジオ内に突然、人が乱入してきて口を開いた。

「やったな、お前。やってもうたな」

その声の主は相方の矢部だった。岡村は急な事態に戸惑いながらも、迷惑をかけた相方に対して「申し訳ない」と謝罪の言葉を漏らした。

その後、矢部は落ち着いた口調で自らの思いを語った。彼は今回の舌禍騒動をナイナイというコンビの緊急事態だと捉えていた。「公開説教」と称して、矢部は岡村に対して失言問題だけでなく、そこに象徴される昨今の岡村に見られる問題点を厳しく指摘した。それがコンビの関係が悪くなった理由でもあるとはっきり述べた。

矢部によると、岡村はもともと内弁慶で、身近なスタッフなどには気を使わせるようなところがあった。復帰後は、スタッフも今まで以上に岡村の精神的な状態に気を配るようになった。さらに、ナイナイも芸歴や年齢を重ねたことで立場が上がり、彼らに物申すことができる人もどんどんいなくなっていた。

ナイナイの復活はこれからだ

矢部は翌週、翌々週のラジオにも出演した。そして、翌々週の5月14日深夜放送回の中で『ナインティナインのオールナイトニッポン』の復活を宣言したのだ。ナイナイというコンビの止まっていた時計がようやく動き出した。

ナイナイは、ライブでの下積みをほとんど経験しないままテレビに出て成功を収めた、自他ともに認める「テレビ芸人」である。だからこそ、岡村は常に「テレビに出られなくなったら自分たちは終わりだ」という覚悟を持ち、背水の陣の気持ちで目の前の仕事に真剣に取り組んできた。

ナイナイにとってラジオは、そんな笑いの戦場の1つであると同時に、思ったことを自由に話せる自分たちの「原点」のような場所でもあった。ナイナイがコンビとして本当の意味で輝きを取り戻すのはこれからだろう。

ナインティナインの復活はこれからだ(写真:『ナインティナインのオールナイトニッポン』公式ツイッターより)
ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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