ケチケチで貯金優先な人が世界中で目立つ訳 コロナ禍で倹約志向強まり、経済回復に影
フィッチ・ソリューションズは6月4日のレポートで、「消費者は生活必需品の分野への関心を強めている」と指摘し、中国では今年の家計消費が落ち込むと予想。2020年の成長予測を、パンデミック前の5.6%から、わずか1.1%へと引き下げた。
米国では、チョコレート大手のハーシーや歯磨きメーカーのコルゲートといった著名ブランドが、消費者の低価格志向を指摘している。これに対し、「(1ドル以下の商品を扱う)ダラー・ストア」は、2008ー09年の大不況後に見られたように、新たな顧客を迎え入れられるのではないかと期待している。
ダラーツリーのゲイリー・フィルビン最高経営責任者(CEO)は5月28日、「2008年には多くの人が職を失い、私たちに気づいてくれた。今年後半、そして2021年に向けて将来を展望するなかで私たちが予想しているのも、1つにはそういうことだ」と語った。
いま大きな要因となっているのは、ロックダウンによる最悪の影響を免れた米国の世帯が積み上げた多額の貯蓄がどうなるか、である。これによって米国では、所得に対する貯蓄率が過去最高の33%まで上昇している。
リーマン後の大不況も貯蓄率は高止まりした
貯蓄率は今後下がっていくだろうが、大量の現金が経済に戻ってくることを期待しても裏切られるかもしれない。国際通貨基金(IMF)の研究者が2012年に発表した論文では、2008ー09年の大不況が始まった後、長引く不安感によって貯蓄率は高止まりし、経済全体としても消費・成長の低下につながったとされている。
さらに、オックスフォード・エコノミクスは、単発の税金還付が5月に終了し、パンデミック失業に対する補償も7月に打ち切られるため、米国の多くの家計が「所得の崖」に追い詰められようとしていると述べ、今年いっぱい、家計所得の減少が続くと予測している。