西武ラビュー、鉄道車両「歴代王者」と何が違う? 「ブルーリボン賞」受賞車両それぞれの理由

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新幹線では東海道・山陽新幹線のN700系が2008年に選定されている。評価コメントは「東海道・山陽新幹線用車両として歴代最強となる存在感と快適性」。歴代最強という表現は力強いが、東海道・山陽新幹線だけに限定されている。

2015年にブルーリボン賞を受賞したE7系・W7系新幹線(撮影:梅谷秀司)

2015年は北陸新幹線の車両であるJR東日本のE7系、JR西日本のW7系が選ばれた。「北陸への新しい大動脈となった北陸新幹線を強くアピール」とのコメントがある。1998年にはJR西日本の500系が選ばれた。コメントは「世界最高速度による営業運転の実現や、未来を感じさせる流麗なスタイル」となっている。

JR貨物のコンテナ電車M250系「スーパーレールカーゴ」(写真:F4UZR/PIXTA)

ブルーリボン賞は電車やディーゼルカーだけではない。2018年には「SLやまぐち」号で運用される35系客車が選定。旅客列車以外にも目配りされており、2005年には「スーパーレールカーゴ」の愛称を持つJR貨物のM250系コンテナ貨物電車が選定された。「このような貨物車両が登場することは、鉄道ファンにとってもかねてからの夢」としつつ、「これからの環境時代にふさわしい車両」と評価する。

2007年には富山ライトレールの0600形が選定され、「廃止寸前の地方ローカル線から、『都市の装置としてのLRT』としていちはやく再生の一歩を踏み出した富山ライトレールのシンボル」と評した。車両そのものだけでなく、車両の持つ社会的意義も評価されているのだ。

今年も期待の新車は続々

このように毎年のブルーリボン賞選定車両の評価コメントだけを抜き出して読むと、鉄道車両のトレンドかどうかの違いはあるが、小田急のGSEと西武のラビューが「完成度の高さ」で双璧にあることになる。鉄道車両が進化するものだとすれば、今後新たに登場する車両は過去の車両の性能や魅力を上回るはずだ。

今年も数多くの新しい車両が登場する。在来線でいえば、3月に登場した近鉄の80000系「ひのとり」はブルーリボン賞の有力候補といえそうだ。新幹線では東海道・山陽新幹線にN700Sが7月からデビューする。ブルーリボン賞に選定されてN700系を超える高い評価を得ることができるか。「賞レース」の行方も興味が尽きない。

次ページ歴代の受賞車両とその評価(2020年~2001年)
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