踏切事故、実は全国で「2日に1度」は起きている 「警報器も遮断機もない踏切」は全国に残る
改正以前の踏切道改良促進法では、鉄道事業者と道路管理者が改良の方法(立体交差化など)に合意していなければ「改良すべき踏切道」に指定できなかったが、改正によって方法が決まっていなくても課題のある踏切については「改良すべき踏切道」に指定することが可能になった。
また、改良の方法についても、当面の対策として歩道部分のカラー舗装化や、駅周辺に駐輪場を整備するなどして踏切の通行量を減らす、といった方法を取れるようになった。
法改正後、国交省は2016年4月から2019年12月までの間に「改良すべき踏切道」を5回に分けて全国で計1129カ所指定。実際に改良も行われており、『交通安全白書』によると2017年度には14カ所の踏切が立体交差化され、このほか211カ所で構造の改良、23カ所で踏切保安設備の整備が行われている。こうした改良の積み重ねが、踏切事故の減少へとつながっているのだ。
鉄道各社もさまざまな対策
鉄道各社も踏切の改良を進めている。JR東日本は、踏切の第1種化を進めるだけではなく、立ち往生した車などを検知する「障害物検知装備」のうち、踏切全体を検知できる高性能の「3次元レーザレーダ式」を2019年度末で約830の踏切に整備している。また、警報器の警報灯も、360度どこからでも見える「全方位警報灯」への置き換えを進めている。
また、阪急電鉄は、踏切すべてへの非常ボタンの設置だけでなく、踏切遮断機が何らかのトラブルで完全に降りなかった場合に列車を停止させる「未降下検知装置」を262カ所の踏切すべてに設置している。昨年、神奈川新町駅近くの踏切で大きな事故が起きた京急電鉄は、衝突事故防止のために踏切の異常を運転士に知らせる信号の設置ルールを見直した。
このように、鉄道事業者もさまざまな安全対策を行っているが、それでも踏切事故・障害は起こっている。では、どんな踏切で事故が多いのか。
現在、日本の鉄道に設置されている踏切には、第1種踏切、第3種踏切、第4種踏切の3種類がある。第1種踏切とは「自動遮断機が設置されている踏切道又は踏切保安係が遮断機を操作している踏切道」、第3種踏切は「遮断器はないが警報機が設置されている踏切道」だ。第4種踏切は「踏切保安係もおらず、遮断機も警報機も設置されていない踏切道」を指す。
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