米ファーウェイ禁輸、どんな影響をもたらすか アメリカの対中規制強化方針は変わらない
米中貿易摩擦が激化する中、アメリカ商務省は5月に中国の通信機器メーカー「華為技術(ファーウェイ)」向けのハイテク輸出規制を強化するなど、事実上の「ファーウェイ禁輸措置」を発表した。
この措置ではアメリカ企業とファーウェイの取引が規制されただけでなく、他国の企業であっても製品の合計金額に占めるアメリカ製部品の割合が25%を上回った場合、ファーウェイとの取引が不可能となった。だが25%というのは、ただの数字にすぎない。ファーウェイはこの数字がいずれ10%、さらに0%になりかねないことを察知している。
アメリカ商務省は5月15日に2つの文書を発表した。1つは「アメリカ製の技術を用いたサービスをファーウェイに提供するには商務省の許可を必要とすること。また、アメリカ国外においてファーウェイや関連企業の設計に基づき、アメリカ製の製造装置を用いて生産された半導体製品の輸出も許可制とする」というものだ。
ファーウェイは事実上、他社からの部品供給を遮断された形だ。ただし15日の時点ですでに生産を開始している場合、120日以内はファーウェイへの供給を認めるという。
2020年中の影響は軽微だが…
2つ目は「ファーウェイとその関連企業への商品輸出に対する『一時的一般許可証』の有効期限を90日延長する」というものだ。2019年5月の禁輸措置により、ファーウェイとアメリカ企業間の新規取引は事実上不可能となっていたが、この一時的一般許可証により、既存製品やサービスの維持のための取引を続けることはできた。だが、2020年5月の延長がおそらく最後の延長で、この措置はファーウェイ経営に大きな打撃を与えると見られている。
アメリカの禁輸強化に対し、ファーウェイは早くから対策をとっていたようだ。「2020年の新型コロナウイルスの流行以来、スマートフォンの需要見通しははっきりと下方修正されている。しかしファーウェイによる半導体ウエハの購入はまったく減っていない。ファーウェイは(アメリカの規制強化に備えて)部品の在庫確保に努めていた」。そう指摘するのは、台湾のシンクタンク・台湾経済研究院の産業アナリストである邱昰芳氏だ。
半導体ウエハは半導体を製造するうえで最も重要な材料だ。ファーウェイはすでに、2020年下半期に行うスマートフォンのフラッグシップ機の製造や基地局の整備に十分なだけの半導体ウエハを確保しており、市場も製品供給にただちに大きな影響はないと見ているという。
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