4月には、通常の専門分野とは異なる医師や看護スタッフによる新型コロナ病棟勤務も始まった。簡単に言えば、多くが内科で働くことになったわけだが、チーム編成は専門の内科出身は、医師も看護師も半数以下。残りは眼科、歯科、整形外科、遺伝子治療科、セクシュアルヘルス部門、外来の一部など、「不急部門」とされ閉鎖や縮小されて前線に招集されてきた「院内寄せ集め医療チーム」だ。
同じく「寄せ集め」と揶揄される正月名物、箱根駅伝の関東学生連合チームだって全員、駅伝選手だ。「陸上だから」と、円盤投げや三段跳びの選手を投入はしていない。それくらいこのチームは現実離れをしていた。
専門医を専門外医師がサポート
初日に統括の女性内科上級医が思わず苦笑いをした。でも「院内寄せ集めチーム」はそんな余裕さえない。「本当にここでやっていけるのか?」私を含めて誰もが不安を感じていた。
こうした課題を払拭するべく、スキルと経験のあるスタッフとないスタッフの組み合わせが駆使された。医師も看護師も内科が主導する形が取られ、医師の場合は内科上級医の監督、サポートのもと専門外の医師が研修医としてつき仕事をしていく。
同様に看護師も内科看護師がリードをとる。実際に最初の1週間は内科看護師と専門外の看護師で2人1組となり仕事をした。病棟勤務を離れた看護師にとっての大きな不安は複数患者の同時管理だ。受け持ち人数は4人から8人と、通常の病棟看護師の配置人数に比べたら比較的ゆとりがある。それでも複数患者をどう管理していくのかは重要な要素となる。
例えば、患者Aは発熱と血圧が下がり頻脈、患者Bは急性腎障害のような症状、患者CはSpO2(動脈血酸素飽和度)が低下して頻呼吸。複数患者の容体悪化は新型コロナ病棟では珍しくない光景である。もちろん他の受け持ち患者の看護も自分の業務だ。
このような場合のドクターへの報告や連携、仕事の優先順位を組み、同僚に応援を要請して具体的な指示を出していくこと。冷静なままで素早く的確な判断。病棟勤務時代には当たり前にこなしていたスキルを内科専門看護師との勤務、指導により取り戻していった。こんな指導は学生以来である。
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