アディダス「海洋廃棄物から靴を作る」本気度 「環境問題をビジネスに変える」日本への教訓

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福田:今回のタイトルとなっているアディダスに話を戻すと、昨年には100%リサイクル可能なスニーカー「フューチャークラフト.ループ」を発表しました。通常、スニーカーは複合材料や接着剤を使用しているため、100%のリサイクルは困難です。ところが、「フューチャークラフト.ループ」は接着剤を使用せず、しかも100%再生利用可能な素材でつくられています。

日本も「サステイナビリティを軸とした見直し」が必要

福田:この研究開発には、主要な素材開発・製造・リサイクルのパートナーと共に取り組み、なんと10年近くの期間を費やしたと聞いています。さらに、同社は、2024年までにすべての製品に100%リサイクルされたポリエステルを採用すると公約していますよね。もう本気度が違います。

伊勢谷サステイナビリティに本気で取り組むと、結果が出るまで時間がかかりますよね。僕も10年以上「リバースプロジェクト」を通じて取り組んできたので、よくわかります。10年となると、普通の企業は経営者が代替わりしてしまい、取り組みが続かないことが多いでしょう。アディダスのような取り組みは、ゆるぎない企業経営のあり方や理念が存在しないと到底できません。

福田:そうですね。やはりドイツをはじめとする欧州の会社には、サステイナビリティに対してしっかりとした考え方があり、企業活動にまで落とし込まれている会社が多いという印象があります。国レベルでも環境先進国が多いですし。「ポストコロナの時代」は、企業の社会的責任やサステイナビリティに対する消費者の目はいっそう、厳しくなると思います。日本の企業も、サステイナビリティを軸としたサプライチェーンや事業の見直しが必要なタイミングではないでしょうか。

福田 稔 KEARNEYシニアパートナー

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ふくだ みのる / Minoru Fukuda

慶應義塾大学卒業、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)修了。電通国際情報サービス、欧州系戦略コンサルを経て、A.T. カーニー入社。主に、アパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定・ブランドマネジメント・グリーントランスフォーメーション・DX等のコンサルティングに従事。プライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省の産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、繊維製品における資源循環システム検討会委員、ファッション未来研究会副座長。著書に『2030年アパレルの未来』『2040年アパレルの未来』(共に東洋経済新報社)がある。

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伊勢谷 友介 リバースプロジェクト代表・俳優・監督

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いせや ゆうすけ / Yusuke Iseya

1976年、東京都生まれ。 東京藝術大学美術学部修士課程修了。1998年より俳優として活動。2002年、初監督作品『カクト』が公開。2009年、様々な才能を持ったアーティスト・プロデューサーが集結し、「人類が地球に生き残るために」をテーマに、新たな価値とモノの創造、社会貢献活動を行う株式会社リバースプロジェクトを設立。人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、 衣・食・住のみならず、教育・芸術・まちおこしといった分野において未来における生活を新たなビジネスを通して提案し、様々な企業とともに社会課題解決型のプロジェクトを実施。

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