「コロナ後の大学」に求められる唯一無二の役割

世界を救う大学発ベンチャーを育成できるか

3つ目は、ベンチャーへの資金支援だ。組織は「橋渡し研究予算」も持っている。つまり、「今は難しいが、もう少し研究を進めると、いい結果が出そうなところ」に素早く支援資金を提供しているのだ。

例えば、UCIには「POP(proof of product)」というファンディングプログラム(製品コンセプト検証助成金)がある。校内の各プロジェクトに競争させ、関連分野の投資家からビジネス評価をしてもらうのだ。

研究者からすると、直接学校から資金をもらえるので、他の助成金を獲得するより手っ取り早い。一方、投資家からすると、評価は無償で実施するものの、誰よりも早く新規投資先との接点ができる。実際、そのままベンチャーのメンターになって投資する例もある。

コロナ後の日本の大学に求められる動き

日本の大学発ベンチャー支援については、まだスタート段階といえるであろう。公的なベンチャー支援資金が都内や著名な大学に集中しやすい傾向があることや、TLOの人材不足が、日本全体の大学発テクノロジーイノベーションの発展のボトルネックになっている。

また、UCIが効率的に大学発ベンチャーを育成できているのは、TLOだけではなく、投資家など周辺のエコシステム(生態系)も完備しており、その目利きとリソース(資源)を大学に提供してくれる集団の存在も大きい。

日本でも、大学発ベンチャーを育成しようとしている動きは多くみられる。科学技術振興機構(JST)が「SCORE(チーム推進型)」という大学発新産業創出プログラムを進めているほか、アメリカのファンドも日本の大学発ベンチャーを育成するために積極的に動いているようである。

今後、資金の偏在を調整し、ビジネス・技術評価の専門家との連携によって、UCIのようにシステム化した技術移転とベンチャー創業支援ができるようになることを期待したい。さらに、その周辺のエコシステムが構築できると、大学内に眠っている世界に役立つ研究が実用化され、社会全体が恩恵を受けることが加速されるはずだ。

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