また一波乱?西武株はいくらが適正価格か 売り出し価格をめぐってサーベラスが売却見送り

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

短期的には、紀尾井町計画の開業費用やほかのホテルの耐震補強工事による費用増が利益を圧迫し、一時的な成長鈍化が予想される。サーベラスが目標とする2000円台の株価達成は、成長のためにまいた種が実を結ぶことが確認されたとき。それまでには、まだしばらくの時間を要しそうだ。

両社の関係に変化

西武HDの後藤社長はホテルと不動産を成長ドライバーにすえる(撮影:尾形文繁)

いずれにせよ、サーベラスとしては長期保有のスタンスを取り、筆頭株主の立場から成長を見守るしかない。昨年のTOB騒動のようなサーベラスによる株買い増しや経営権の奪取という事態に発展する可能性は低そうだ。

実際、目論見書には、「西武HDとサーベラス・グループの関係は改善」されたと記されている。4月9日にはわざわざ、「現在、サーベラス・グループは、当社に対する経営関与や当社株式のさらなる買い増しを行う意向はなく、当社の事業計画を支持しております」という文言を加えた訂正目論見書を提出した。

上場承認後には、西武HDの後藤高志社長とサーベラスのファインバーグ会長がニューヨークで会談し、良好な関係を継続していくことを確認し合ったという。また2月には、昨年の株主総会でサーベラスが取締役候補として株主提案し否決されたスタン・ブラウン氏を、プリンスホテルの副社長として登用した。両社の関係の変化が見て取れる。

西武HDはサーベラスが3割超の株式を保有したままでの上場となる。今後、サーベラスがどのようなタイミングで保有株式を手放すかはわからないが、西武HDのさらなる成長を実現させたい思惑では両社が一致している。上場日の4月23日はゴールというよりも、西武HDの新たな船出の日という位置付けが正しいだろう。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事