また一波乱?西武株はいくらが適正価格か 売り出し価格をめぐってサーベラスが売却見送り
短期的には、紀尾井町計画の開業費用やほかのホテルの耐震補強工事による費用増が利益を圧迫し、一時的な成長鈍化が予想される。サーベラスが目標とする2000円台の株価達成は、成長のためにまいた種が実を結ぶことが確認されたとき。それまでには、まだしばらくの時間を要しそうだ。
両社の関係に変化
いずれにせよ、サーベラスとしては長期保有のスタンスを取り、筆頭株主の立場から成長を見守るしかない。昨年のTOB騒動のようなサーベラスによる株買い増しや経営権の奪取という事態に発展する可能性は低そうだ。
実際、目論見書には、「西武HDとサーベラス・グループの関係は改善」されたと記されている。4月9日にはわざわざ、「現在、サーベラス・グループは、当社に対する経営関与や当社株式のさらなる買い増しを行う意向はなく、当社の事業計画を支持しております」という文言を加えた訂正目論見書を提出した。
上場承認後には、西武HDの後藤高志社長とサーベラスのファインバーグ会長がニューヨークで会談し、良好な関係を継続していくことを確認し合ったという。また2月には、昨年の株主総会でサーベラスが取締役候補として株主提案し否決されたスタン・ブラウン氏を、プリンスホテルの副社長として登用した。両社の関係の変化が見て取れる。
西武HDはサーベラスが3割超の株式を保有したままでの上場となる。今後、サーベラスがどのようなタイミングで保有株式を手放すかはわからないが、西武HDのさらなる成長を実現させたい思惑では両社が一致している。上場日の4月23日はゴールというよりも、西武HDの新たな船出の日という位置付けが正しいだろう。
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