コロナ後が気になる「電車の換気」の重要性 空調完備でも通勤電車は窓が開くほうがいい

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それでもなお、特急などと異なり通勤電車は窓が開くのが普通だった。混雑時の換気などを考慮していたためだ。北総鉄道の7000形や京急電鉄の800形など、窓の大半を固定式にした車両は一部にあったものの、一般的ではなかった。

だが、開閉可能な窓は部品点数も多くなるため重量がかさみ、メンテナンスにも手間がかかる。空調もしっかりしているんだし、通勤電車も窓が開かなくてもいいんじゃないか――。そのような考えで開発されたのが、1993年(試作車は1992年)に登場したJR東日本の209系である。

この車両は、従来の通勤電車とは大きく異なる新たなコンセプトに基づいて開発され、車体の大幅な軽量化やコストダウンを実現した。車内の換気も空調装置によって行うことを前提とし、開閉できる窓は先頭車が車端部の2カ所、中間車は4カ所のみという構造になっていた。

停電時の換気に問題

209系は京浜東北線などに導入され、新世代の車両としてその後の鉄道車両開発に大きな影響を与えた。だが2005年、この車両が長時間にわたる停電で乗客を乗せたまま走行が不可能になった際、窓が開かないことが問題になった。停電により空調がストップして車内の換気が悪くなり、体調不良を訴える乗客が相次いだのだ。

現在は房総地区を走っている209系電車。後から開閉可能に改造された窓は上下2段に分かれており、上段の窓を下げて開ける(写真:村上暁彦/PIXTA)

その結果、固定式だった窓は開閉可能な構造に改造された。その後の新型車両も、窓はある程度開くのが一般的になっている。

通勤電車は、特急や新幹線に比べて乗客が窮屈な思いをしがちな車両である。特に朝のラッシュ時はそうだ。平常時に空調がしっかりしていてもつらいのだから、もし停電で駅間に長時間停車するような事態が発生した場合を考えると、窓が少しでも開くほうがいい、ということになる。

もし窓が開かないタイプの通勤電車が広まっていたら、現在のように窓を開けての換気ができずに車内の「密」の状況がひどくなり、新型コロナウイルス拡大の一因となっていたかもしれない。

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