会社が手放さない管理職は部下の育て方が違う 部下に求めるのは結果より情報のインプット
皆さんも会社の経営幹部ならば、自分の能力以下の人間しか育てられない上司と、部下がバンバン成長していく上司とでは、どちらを優遇するかは自明の理だとわかるでしょう。
むしろ、どうすれば「自分を超える部下」をつくれるのか、ここに注力する必要があります。自分を超える部下をどうつくるか、皆さんはそういう発想で部下と関わっていますでしょうか?
「自分を超える部下」のつくり方
では、どうすれば「自分を超える部下」を育てられるのでしょうか。まず、着目するべきはアウトプットではなく、インプットです。インプットのある部分を同質化させると、部下は自分を超えるアウトプットを出すようになります。
それは、「ビジョンへの燃焼度合い」です。あなたの部下は、ビジョンを持っていますか?そのビジョンの実現に燃えていますか?
ビジョンとは、鮮明な将来像のことです。ビジョンには「映像」という意味合いが含まれていますが、「将来」はそのときがくるまで実際に目にすることはできません。あくまで想像です。将来を想像したときに、どこまで鮮明な映像としてイメージできるかが重要なのです。
あなたが仕事に燃えているのは、ビジョンが鮮明に見えているからです。しかし多くの場合、部下はあなたほどにはビジョンが見えていません。ただ目の前の仕事に追われ、作業として仕事に取り掛かってしまっています。
ビジョンがない仕事というのは辛いものです。わかりやすい事例で考えると、「筋トレ」は、ビジョンがなければとても続けることはできません。スクワットというのは、しゃがんだり立ち上がったりを繰り返すことで太ももの筋肉を強化する行為です。
ですが、もしも上司がやってきてビジョンも示さずに「〇〇くん、ちょっとしゃがんでくれるかな」「しゃがんだら足を延ばして立ち上がって」「そしたらまたしゃがんで」「立って」と行動だけを指示してきたらどうでしょうか?「この上司、頭おかしいんじゃないか」と思いますよね。
同じ行為でも、「〇〇くん、痩せたくない?」「あ、痩せたいです」「痩せるには、大きな筋肉からつけると基礎代謝が上がって痩せやすいんだって。だからさ、朝一緒にスクワットやってみない? 一緒にやったら続けられるし、痩せられるから、一緒に取り組んでほしいんだよね」「いいですね、やりましょう」というやり取りがあった後でスクワットをするならば、まったく辛さが変わってくると思います。
筋トレだとわかりやすい「ビジョンなきとんでもない指示」を、ビジネスの現場では、わりとやってしまいがちです。「この資料つくっておいて」「これ印刷しておいてくれないかな」「来月はこのキャンペーンで行くから」「この数字は達成してくれよ」と、ビジョンを示さずにただアクションだけ指示を出す。これでは、部下はやらされ感から逃れることはできません。