会社が手放さない管理職は部下の育て方が違う 部下に求めるのは結果より情報のインプット
「コピーする」という発想は、自分と相手を同質化させるアイデアです。
同質化させられる部下は、たまったものではありません。
しかし、どこを同質化させるか。ここに着目すると、また違った答えがでてきます。まず、仕事を任せる際は「インプット」と「アウトプット」に分けてみましょう。
・アウトプット……仕事の結果を出す
仕事を任せるときに、仕事の内容や目的、意味などを相手に伝えます。なぜその仕事をするのか、どうやって進めるのか、どうしたらうまくいくか、情報をインプットしていきます。部下は、インプットした情報を元に仕事に取り組んで結果を出そうとします。これがアウトプットです。
コピーするという発想は、アウトプットに求めると全くうまくいきません。しかし、インプットを同質化させる発想を持つと、とたんにうまくいきます。
例えば部下に、何か資料を作成してもらうとします。インプットをコピーすると考えてみてください。部下があなたと同じくらい情報を持っている状態になるまで、情報を与えたとします。資料をつくる目的、意味、やり方、この資料を必要とする相手は何を求めていて、過去にはどんな資料があったのか、あなたの持っている情報を渡し、あなたと部下との間で情報格差が埋まるまで共有する。
もしもインプットがコピーできたなら、アウトプットはどうなるか。結論から言うと、良質なインプットからは良質なアウトプットが生まれます。インプットの情報格差が埋まっていれば、アウトプットの基準はおのずとあがります。むしろ、あなたの発想に加えて部下独自の工夫やアイデアがプラスオンされ、あなたが想像した以上の結果が出るようになる可能性すらあります。
このプラスオンされた部下の工夫やアイデアが部下の個性となり、部下のやりがいを高め、成長を促進させます。つまり、インプットをコピーすれば、アウトプットはあなたの想定以上の結果がうまれるということです。
人は多くの場合、アウトプットをコピーしたいと考えてしまいます。自分と同じアウトプットを出すように部下に求めてしまうのです。アウトプットをコピーする発想でいると、出てきた資料を「これじゃない」「これは違う」とダメ出しばかりになってしまいます。
「自分を超える部下」を増やせ!
「コピーする」発想には、もう1つ問題があります。それは、「自分を超える部下」を想定していないことです。コピーという考えには、「部下は自分のレベルに到達してくれさえすればいい」という基準値が生じます。
もしも部下がこの基準値を超えるアウトプットを出したら、自分の立場がなくなると不安を覚えるかもしれませんが、それは全くの杞憂です。なぜなら、自分を超える部下を何人も育てられるリーダーを、会社は放っておかないからです。