コロナ直撃で1位は?大手私鉄の「利用客減少率」 3月のデータで各社比較、意外な減少要因も

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関東の私鉄では定期券客を通勤定期と通学定期に分けて発表している会社が多い。これらを見ると通学定期についてはどの鉄道会社も50%程度の減少となっている。

学校が休校なのだから減少率はもっと高いのではないかと思ったが、「定期券収入は、定期券を使っても使わなくても有効期間中であれば収入として計上される」と、ある鉄道会社の担当者が教えてくれた。つまり、1カ月定期の3月分を購入しなかった客と3カ月定期や6カ月定期の場合は3月分を払い戻した客の合計が、通学定期客全体の約半分ということになるわけだ。

通勤定期については各社の減少率は7〜11%の範囲にある。最も減少率が大きいのは京王と東急の10.5%減。最も減少率が小さいのは相模鉄道の7.9%減だ。

小田急は通学定期の減少率が1位、通勤定期の減少率が3位。京王は通学定期の減少率は4位だが通勤定期の減少率は1位だった。この結果が、定期全体の順位に現れたのだろう。

定期外は航空旅客減少が直撃

続いて、定期外について見ていく。最も減少率が高いのは京成電鉄で46.3%減、ついで南海の43.7%減、近鉄の42.9%減、京浜急行電鉄の40.7%減という順になった。

近鉄を除く3社に共通するのは、空港アクセス路線を抱えているという点だ。南海は関西国際空港となんばを結ぶ有料特急「ラピート」、京成は成田国際空港と上野・日暮里を結ぶ有料特急「スカイライナー」を運行し、京急は羽田空港と品川を結ぶ空港線が活躍する。

これら3社は空港関連のデータを別途開示している。それを見ると、京成の3月運輸収入のうち成田空港発着分は59.5%減、有料特急分は65.6%減となっており、スカイライナーが大きく落ち込んだことがわかる。南海も空港線の3月運輸収入が70.0%減となった。いっぽうで、京急は羽田空港第1・第2ターミナル駅と羽田空港第3ターミナル駅を合計した3月輸送人員は32.8%減。京急全体の3月の定期外輸送人員は33.0%減なので、空港利用者の落ち込みだけが定期外客減少の理由というわけではなさそうだ。

近鉄は名古屋と大阪を結ぶ有料特急や大阪・名古屋と伊勢志摩を結ぶ有料特急の比重が大きい。前者はビジネス需要、後者は観光需要が主体となるが、特急料金も減ったことで減少率が大きくなったようだ。

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