コロナで「退学者が出る大学と出ない大学」の差

困窮学生を救いたい大学の厳しい懐事情とは

政府も検討は進めている。自民党は学費や生活のためのアルバイトが欠かせない中間所得世帯の学生らを対象に、1人10〜20万円を支給する案を提案している。全学生の2割が支給対象になると見込まれるが、有効な政策とは思われない。本当に退学者を生まないためには、学生1人ひとりの状態に合った奨学金制度を設計し、そこに資金を投入すべきである。

学生団体が要求している学費の半額減免は現実的ではない。大学・短期大学・専門学校のすべての学費を半額減免するには、ざっとした試算では1兆5000億円が必要となる。大学・短大・専門学校の学費(授業料等納付金)の総額は3.7兆円(教育再生実行会議第8次提言より)あり、文科省は高等教育無償化に伴い対象者が約2割になるという当初見込みで総額予算7600億円(2018年度文科省試算)を立てていた。

一律給付でなく貸与奨学金という選択肢も

コロナ不況下の経済事情により、不本意にも退学をしなければならない学生の数が増えていることは間違いない。その対処に必要とする奨学金原資は相当額に上ることが予想される。

これから各大学が学生からの奨学金や給付金申請を受け付けることで、必要な額が明らかになってくる。その総額に対して政府は資金を投入すべきである。おそらくそれは一律10〜20万円を支給する案より有効な資金の使い方になるはずだ。

スピードを重視するために一律給付がよいという意見もあるが、これは手続きの問題であり、給付金額は誰がどのように必要としているのかの問題である。ならば給付型奨学金の受給者を確定する期間は、一律40~50万円相当の貸与奨学金を与える方法もある。そこに政府資金を投入するのも有効であろう。

今、大学側は足並みが乱れている。しかし団結して行動へ移さなければ、1人でも多くの学生を退学から救うことは難しくなる。

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